ワールドマラソンメジャーズについて語るときに私の語ること~ニューヨークシティマラソン編~

みなさんいかがお過ごしでしょうか?
前回のプロローグから少し時間が経ってしまいましたが、ここからはじまるニューヨークシティマラソン編を楽しみにして頂いていたら嬉しく思います。
さぁ、2013年11月へタイムスリップ!

2013年11月2日。土曜日。大会前日に私はニューヨークへ到着しました。今思うと2泊4日の強行軍は、初海外マラソンで、怖いもの知らずだったからこそできた計画であったように思います。これからチャレンジする人にアドバイスしたいのは、現地に到着してからレースまで、少なくとも中1日の余裕をもったプランにすることです。長時間のフライト後、時差ボケのままのフルマラソンは単純にキツイです。
しかも私はニューヨークへ旅立つ2週間ほど前のこと、練習中に雨上がりの路上で足首をひどく捻挫してしまい、そこからは走るのは当然無理、歩くのがやっとの状態でした。痛みや腫れがようやくなくなってきたとはいえ、本当にフルマラソンを走れるかな?という不安もあり、憧れのニューヨーク、恋い焦がれたニューヨークに降り立ったというのに、長時間のフライトや時差ボケのせいだけじゃなく、正直晴れやかな気持ちというわけにはいかなかったのです。

ところで、みなさんはニューヨークといえば何を思い浮かべますか?
自由の女神
マンハッタン 五番街
ミュージカル エンターテインメント 美術館
セントラルパーク
タイムズスクエア
テレビでよく映し出される大スクリーンのある街角
野球 ニューヨークヤンキース
The アメリカ!というイメージ
など、いろいろあるかと思います。

私の場合まず思い浮かぶのが、フランクシナトラさんが歌った大ヒット曲『ニューヨーク・ニューヨーク』。

【歌詞和訳】
ニュースを広めよう。
僕は今日出発するんだ。
街に溶け込みたいんだ。
ニューヨーク、ニューヨーク。

このベガバンシューズが
彷徨いたがっている。
街のど真ん中を通って、
ニューヨーク、ニューヨーク。

僕は目覚めたい、眠らない街で。
そして、街の頂点に立つんだ。
群衆の上に。
この街のブルースが
溶けてなくなっている。
真新しいスタートをするんだ、
古いニューヨークで。
もしそこで成功できるなら、
僕はどこでも成功できるだろう。
君次第だよ。
ニューヨーク、ニューヨーク。

ニューヨーク、ニューヨーク。
僕は目覚めたい、眠らない街で。
そして、僕がナンバー・ワンなんだ、
リストの一番上、山の頂点、
ナンバー・ワン。

この街のブルースが
溶けてなくなっている。
真新しいスタートをするんだ、
古いニューヨークで。
もしそこで成功できるなら、
僕はどこでも成功できるだろう。
君次第だよ。
ニューヨーク、ニューヨーク。

いかがですか?なんだかちょっと時代遅れ?
いやいや、この男らしい野心丸出しの感じがとてもニューヨークらしいというか、アメリカンドリームそのものを歌っていて、このギラギラした感じがとても好き。

人生は『It’s up to you,(君次第だよ。)』と言われているような気がするのです。

ニューヨークに降り立つと、いや、成田を飛び立った頃から、私の頭の中でこの曲がずっとリピートしていました。

さて、ニューヨークシティマラソンは、ニューヨーク市の5区を全てまわるコース取りがされているというのも魅力の一つ。スタテンアイランド区(スタテン島)をスタートし、ブルックリン区、クイーンズ区、ブロンクス区を通り抜け、マンハッタン区(セントラルパーク)にゴールをします。東京でいえば、23区を全てまわるようなものです。自分の足でニューヨークの5区を全てまわれるなんてフルマラソンならではのこと。素敵ですよね。

実際に走ってみるとそれぞれの区に違った雰囲気があって、走りながら違う区に入ったというのがわかります。
私が持った印象はこんな感じです。
●スタテンアイランド区
東京でいうところのお台場のようなイメージ。ニューヨークとは思えないような郊外の穏やかさもあります。
●ブルックリン区
新旧入れ混じった洗練された街並みが素敵。ブルックリン橋が有名ですが、ディズニーアニメに出てくるような白壁の戸建ての家や、かわいい外観のアパートメントなどが並ぶ風景も印象的です。
●クイーンズ区
マンハッタンとはまたひと味違うのですが、活気のある都会の雰囲気そのままで、とても賑わいがあって暮らすにも便利な雰囲気が伝わってきます。
●ブロンクス区
ハーレムの話を聞いていたので、少し怖いイメージをもっていたのですが、日中、しかもマラソンのレース中ということもあり、怖さは全く感じませんでした。ただ何となく不思議な寂しさのある街という印象です。
●マンハッタン区
マンハッタンは憧れ。生命力を感じる素敵な街。ニューヨークシティマラソンではラストスパートの一番辛い時に登場します。でもこれが、成功すれば夢のような場所だけれど、そうでなければただただ厳しいニューヨークの真実。真剣に立ち向かわないとそこにアメリカンドリームは決してないよ、と言われているようで、走りながら改めて、フルマラソンは人生そのものという言葉とニューヨークという街がクロスするような感覚を覚えました。

私はフルマラソンを5時間半くらいかけて走るランナーなので、参考にならないかもしれませんが、ここに、コースの概要と注意点を記しておきます。お役に立てば幸いです。
【コース概要&注意点】
★全体の特徴
この時期のニューヨークは日中の寒暖の差が激しくレースウェアには注意が必要。ベラザノナロウ橋やクイーンズボロー橋などを渡る際は強風が吹き、身体が冷えてしまうこともある。又、全体的にコースの舗装状態が悪く、ゆっくり走るランナーは底の厚いシューズがおすすめ。又、寒さもあって、体力の消耗が激しい割にカーボジェルなどの準備がコースに殆どないので、お気に入りのカーボジェルを持参しておいた方がよい。
★ミネラルウォーター
3マイル地点から1マイル毎(1マイルは1.6キロ)
★スポーツドリンク
3マイル地点から1マイル毎
★カーボジェル
18マイルのみ(フルーツもあるが、遅いランナー分までは準備されていない)
★トイレ
3マイル地点より1マイル毎
★制限時間
なし。ゴールする気持ちのあるランナーは全てゴールできる!これって最高!
世界中で行われているマラソンレースですが、大きな大会で制限時間がないとなると、ホノルルマラソンとニューヨークシティマラソンくらいしか思い浮かびません。
そういった意味では初心者向きであるのかもしれませんが、正直、コースは6大マラソンの中で一番キツイというのが私の印象です。

と、ここまで書いて、過去に別のサイトで「ニューヨークシティマラソン体験記」を書いたのを思い出しました。
ぜひ、こちらもご一読下さい。

https://dot.asahi.com/ad/140909/02.html

偶然にも、スタートラインが近づくにつれ聴こえてきた生のバンド演奏は『ニューヨーク・ニューヨーク』だったのです。
そして、それに合わせ歌うランナーたちの大合唱は地鳴りのよう響き渡り、私の目からは自然に涙がこぼれていました。
6大マラソンを制覇して思うことの一つ、それは、最初のレースをニューヨークシティマラソンにして正解だったということ。初めてがここだったから6大マラソンを制覇したいという想いが強くなったような気がしてならないのです。

人生は『It’s up to you,(君次第だよ。)』。

次は、2014年、ロンドンマラソンへ旅立ちます。ロンドンは本当に美しかった。
また次回、ロンドンマラソン体験記を楽しみにして頂けると幸いです。

See you later.

文/TAKAKO NEZU

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