モノの本質が分かりづらい世の中だから、ルイ・ヴィトンのバッグを黒く染めてみた。

先日ディナーのあと、とある喫茶店で友達と一服しているときのこと。「金子(わたし)はいつも裏ばかりみて、ひねくれているよね。」と私に笑いながら言ってきた。そうです。わたくし、ひねくれているんです。でも弁解させて下さい。正直に生きていたらこうなっちゃったんです。

前に書いたルイ・ヴィトンとシュプリームのコラボの記事ですが、あれもそう。ルイ・ヴィトンとシュプリームがコラボしたからって「1+1=2」になるとは限りませんよ、見る人からみると「-2」だよ、というのを正直に書いただけ。ルイ・ヴィトンが好きな人からしたら、嫌な気持ちになったかもしれないし、なんてひねくれたライターの人なんだろうと思われたかもしれません。でも、やっぱり書いてから5ヶ月ほど過ぎた今もなお、私の意見は変わることはありませんし、正直な気持ちで書いたので、今後訂正することもないでしょう。

さて、やっと本題に入りますが、この度ルイ・ヴィトンのショルダーバッグ、「ソミュール35」を真っ黒に染めました。せっかくのモノグラムをなんで染めちゃうの? ルイ・ヴィトンの意味ないじゃん! と思われるかもしれませんが、わたくしの中ではルイ・ヴィトン本来のブランドの良さを際立たせる作業をした、と思っています。最初に誤解をときますが、わたくしルイ・ヴィトン好きですよ! でも私の好きなルイ・ヴィトンは昔のルイ・ヴィトンなんです。変なペイントやコラボするようなルイ・ヴィトンが嫌いなだけなんです。

そもそもルイ・ヴィトンはトランクケースからはじまったブランドで、200年の歴史のある老舗中の老舗。今やファッション界をリードするブランドというイメージですが、そもそもは職人が丁寧につくる、スーツで例えるならテーラーのようなブランドなのです。200年の歴史があるブランドって他に何があると思いますか? あのエルメスよりも歴史が長いんですよ。その200年の歴史が時代に合わせ、商品の形も変わってくるのは分かるのですが、そう簡単に話題性だけでコラボとかしてはいけないと思うのです。だってモノは良いのに外側が華美だと、元の良さが分からなくなってしまうではありませんか。

それってルイ・ヴィトンが好きな人からしたら悲しいことですよね。私もルイ・ヴィトンのアーカイブ展を見てから、すっかりブランドの虜となってしまいました。それは高い縫製技術であり、クラフトマンシップであり、昔と変わらないデザインや世界観が続いていることを知ったからです。外側しか見なくなったこの世の中だからこそ、内側の本質に目を向けてほしい。売上や市場が求めているものをくみ取ってやったことだと分かるのですが、なんとも歯がゆい気持ちです。


だから、モノグラムを黒く染めたのです。外側を隠すことにより、モノの形や素材感、縫製やデザイン性に注目してもらいたかったのです。LVマークが着いてるからルイ・ヴィトンじゃないんです。他の人からみたら、ルイ・ヴィトンが嫌いな人に見えるかもしれませんが、私の中ではルイ・ヴィトンを賞賛する手段のひとつだったのです。

ルイ・ヴィトンで働いているわけでもないし、こんな熱弁して寒い感じもしますが、(というかブランドからしたら余計なお節介)モノの本質が分かりづらい世の中だからこそ、外側から内側に目を向けて欲しいという気持ちを込めて、この記事を書かせて頂きました。

長くなってしまいましたが、次回の記事ではルイ・ヴィトンのバッグを簡単に染める方法をご紹介したいと思います。

画像・文 / RYO KANEKO