マヨルカ島からの便り⑩〜スペインで一躍時の人となったフェルナンド・シモン〜

7月初め、 スペイン保健省傘下の保健緊急警報調整局のフェルナンド・シモン局長が、週刊誌の表紙を飾りました。

フェルナンド・シモン局長は、医者であり、毎日、各地の新型コロナの感染状況を全国民に伝え、分析し見解を述べるスポークスマンの役割を担っていて、特に非常事態宣言期間中は、テレビや新聞でこの人を見ない日はないというくらい、一躍、時の人となりました。

実際は、フェルナンド・シモン局長も新型コロナに感染し、入院した時期もありましたが、すぐに回復して復帰したのには驚かされました。サンチェス首相夫人も感染したり、マドリード州知事も感染したりして、次から次に動揺が走ったピーク時期のことです。

さて、この週刊誌の表紙の写真は、毎朝、バイクで保健省に通勤しているところを撮った写真だそうですが、テレビではいつも地味な上着やセーターを着ていました。 保健省のサルバドール・イリャ大臣も政策面でよくテレビで会見していますが、政治家でスーツ姿のイリャ大臣と、専門家のフェルナンド・シモン局長が並んで話すときもあり、その光景は印象的でした。

(左)イリャ大臣(右)フェルナンド・シモン局長

フェルナンド・シモン局長が週刊誌の表紙を飾り、それがニュースになるのも、新型コロナが落ち着いてきたということかなと思いました。非常事態宣言が解除された6月下旬は、確かにスペインは落ち着きを取り戻し、ここバレアレス諸島について言えば、新規感染者数0人もしくは数人という日が続いていました。

しかし、それは束の間で、7月中、感染者数が増え、各県は社会的距離が保てていてもマスク着用を義務化し、最終的に全県が義務化しました。最大で罰金100ユ ーロ(約12,500円)と新聞の表紙に大きく載り、それ以降、皆、マスクをして歩いています。

又、スペインは、週末に家族や親戚、大勢で集まって昼食をする習慣があり、これも感染者数が増えた原因の一つで、屋内は15人、屋外は30人を超えて集まってはいけないというルールになりました。

マヨルカ島は、7月から観光客が来ていますが、毎年夏になると観光客の若者で溢れかえり酔っぱらって騒ぎを起こすいくつかのネオン街(最も有名なのは、マガル フ地区のプンタ・バジェーナ通り)は密集場所となるため、夏の間、閉鎖が命じら れ、連なる飲食店はシャッターを下ろしました。新型コロナを機に治安を良くする かもしれません。

又、スペイン国王一家(フェリペ6世とレティシア王妃、娘のレオノール王女とソフィア王女)もマヨルカ島に来ています。前国王のフアン・カルロス1世は、連日報じられていた金銭疑惑から逃れるように国外へ脱出しましたが、妻であるソフィア前王妃もマヨルカ島に来ています。

スペイン王室はマヨルカ島にあるマリベント宮殿という離宮で毎年夏を過ごすのです。この離宮、残念ながら、塀で囲まれていて外から全く見えません。

スペイン前国王の亡命の騒ぎと、スペイン王室のバカンスの様子が、同時にニュースで流れている今日この頃……。新型コロナの影響も相まって、例年とは少し違うバカンスタイムが流れているマヨルカ島です。

また近況をお便りします。

Mika(スペイン在住8年)