【連載×エドワード】一人旅とSNS疲れ

YouTubeのサジェスト機能は困ったもので、放っておくと思いがけない動画にたどり着いたりする。B’zから始まったはずのライブ映像リレーは、新旧様々なバンドを経て、チューリップへとバトンを繋いだ。

知っている曲は多くないが「心の旅」が流れ始め、私のテレワークの手は止まった。

自分が体験しているはずのないノスタルジーをこの曲は感じさせる。

終盤の『愛に終りがあって 心の旅がはじまる』という歌詞がなんとも切ない。だが、SNSが発達した時代にこの曲が発表されていたとすれば、この味はどうも出ないだろう。

『ああ明日の今頃は 僕は汽車の中』という歌詞も「汽車なう。」と駅弁の写真と共に呟ける現代ではどこか印象が薄れる。価値観の変化を感じさせるとともに、他者との交流が限られていた時代感を少し羨ましく思った。

どうやらこのような意見は少なくないらしい。昨年hotels.comが発表した一人旅に関するアンケート調査では回答者の80%が「SNSはできるだけつながず、自分の時間を大切にする」と答えた。数年前とは真逆の結果である。

数年前は一人旅とSNSのシナジーを唱えたものが多くあった。SNSを通じてリアルタイムで友人と繋がっていられることがハードルを下げるとされ、実際に一人旅の旅行者を増やしていた。

インターネットが発達する以前では一人旅は常に孤独と隣り合わせだっただろう。旅の道中で生まれた感情は他者と共有されることなく、一旦自分の中でろ過される。その過程がまさに自分探しの旅だと言えたのかもしれない。

そして現在、一人旅は「ネット社会疲れ」を通じてかつての姿を取り戻しつつある。

最近では「オンライン飲み会疲れ」なども度々話題になった。普段ならば「用事がある」など曖昧な回答で回避できていた飲み会も、自粛期間中はなかなか難しい。なんとも合理的な言い訳も浮かばず、不本意な飲み会に参加している人も多いのだとか。

物理的な距離は遠ざかったにも関わらず窮屈さを感じるのはなんとも興味深い。

ただ、しばらくは一人旅にも出られそうにない。いっそ心の旅にでも出たいものである。