新年に思う/根津孝子

今日は2021年1月6日。「Beauty Museum」読者の皆様におかれましては、そろそろお仕事も本格的に再始動のことと存じます。

本年もこのPAGEから、様々な情報を配信してまいります。どうぞ宜しくお願い致します。

現在、日本、特に首都圏は、年明けからまた一気に新型コロナウィルスの感染者数が増え、明日にも緊急事態宣言が出されようとしています。

日本は年始からその話題にニュースが独占され、早々にお正月気分が抜けてしまった感がありますね……。

皆様はどのような年末年始をお過ごしでしたか?

私は初詣を控えたくらいで、ある意味例年通りのお正月を過ごしたのですが、心持ちというか、思考というか、そういう目にみえない部分の動きが、とてつもなく忙しい年末年始だったような気がしています。

もっと具体的に言うとしたら、「幸せってなんだろう?」ということをずっとずっと自分に問いかけていました。それは、そうしようとしているのではなく、無意識に。

今もまだ考えがまとまらず、ふと気が付くと頭の中をぐるぐるしています。

大晦日、NHK紅白歌合戦をご覧になりましたか?

私はあの数時間、テレビの前を陣取り、トイレ休憩の時間を除いては、ほぼしっかりと観ていました。掲げられたテーマが「今こそ歌おう みんなでエール」ということもあって、「愛、絆、明るい未来」など、選曲がとにかく優しさに溢れていて、その歌声とテロップで流れる歌詞を目で追いながら、自然に気持ちも上がり、何の根拠もないのに、「きっと大丈夫、コロナはそのうちなくなるさ」なんて、だいぶ脳天気な思考になれた数時間でした。

しかし、終わった後のギャップが大きく、「感染者が増加しています」「医療がひっ迫しています」というニュースが流れると、「現実は何も変わってないじゃん……」という切実な不安がいつも以上に一段と増幅しました。

いわゆる、“祭りのあと”みたいな。そして、人は、祭りを知らず、祭りに行かず、日々同じことの繰り返しを淡々と過ごしていた方が、楽しいことなど知らない方が、実は幸せなんじゃなかろうか?などと、しょうもない思考が広がりました。

そして年が明け、例年通りお雑煮やおせちを頂きながら、益々幸せの意味がわからなくなりました。

住む場所があり、食べるものがあり、美味しく食べられ、健康であること、それは幸せなことです。もちろん、私もそう思います。

けれど、祭りを知ってしまった私はそれだけでは足りないとも思います。日常に自分なりの祭りが戻ってくる日を信じて、今は、この今がいつまで続くのかわからない不安の中で、気を付けながら日々を淡々と過ごすしかないのだなと思います。

誰かが、「生きてるだけでまるもうけ」なんて昔言っていましたが、そこまでの悟りは到底開くことができないものの、そんな言葉を頭の片隅に置いて過ごした方が、きっと今はよさそうです。

こういう気持ちの温度差というのは、日本のどこに住んでいるか、というのによって大きく違うとも思いますが、少なくとも、東京で日常生活を送る私は今、そんな気持ちです。

そして、誰が何と言おうと、私は東京が好きです。

東京ガンバレ!とエールを送り続けます。

年末年始、様々な思考を巡らせている中で、愛でもなく、絆でもなく、明るい未来でもなく……、今、自分を落ち着かせる言葉として本当に大切にしたい言葉は、「感謝」だ、という一つの結論に至りました。

「感謝」の気持ちを忘れず、また新たな一年を過ごしたいと思います。

年頭に掲げるべき抱負は、今年はありません。

だって、生きてるだけでまるもうけ、ですから。