メンチカツに本物もニセモノもあるか!確かにそうだ。どんなメンチカツもメンチカツには違いない。
しかし、しかしだ。この店のメンチカツをひと口食べると、思わず、「あ、これ、本物だ」と言いたくなってしまう。
間違いなく『レストラン香味屋』のメンチカツは、ここにしかない特別なものだ。
ナイフを入れた瞬間、ジュワーっと溢れる肉汁。でもそれは、いわゆる脂っぽさとは全く別モノ。そして、王道のデミグラスソースが、「これぞ、ザ、日本の洋食!」と言わんばかりの、本当に日本人の舌が好む味わいに仕上げられ、シンプルな付け合わせにも丁寧な仕事が感じられる。
食する度に思うのだが、決してあっさりとしているわけではないのに、胃に残るような重たさもないのが不思議なのだ。現に、店内は年齢層が高めで、そんな日本の洋食を、みんなペロリと平らげている。
若い時から通っている常連さんも多いのだろう。店内はそんな雰囲気も漂う。
【HISTORY】
大正十四年、十月二十日。
花柳界で賑わいをみせていた「根岸」に輸入雑貨店として創業しました。
当時は、珈琲豆などを扱っていたことから、花柳界の芸者衆より要望を受け、軽食を出すようになり、それから徐々に洋食屋へと歩みを進めたと聞いています。
戦後まもなく、柳通りに面した現在の地で本格的な洋食屋として再開しました。
その際、船上料理長として活躍されていた2代目が現在の香味屋の基礎を確立しました。
なお、現在の人気メニューの1つである「メンチカツ」は三代目が完成させました。
商売を営んでいる方が多い、ここ下町「根岸」では、出前をとったり、通常のランチタイムから外れた夕方に昼食をとったりするケースが多くありました。
ランチタイム・ディナータイム関係なく、いつ来ても通常メニューが食べられるのはその名残です。
しかも、彼らに根付いていた「粋」の文化からか、「手を抜いていない、いいものを食べたい」という強いリクエストがありました。
私たちは、そのような下町の方々のリクエストに、手を抜かず、真摯に応えることに努めてきたからこそ、いまもご支持いただけている「下町の洋食屋さん」です。
下町で育まれた、丁寧に作られた料理・サービスを是非、楽しんでいただければ幸いです。
お店のHPより抜粋。
おいしいお店、おいしいものはきっと残る。そう思わせる店『レストラン香味屋』。
ここへ来たら、ぜひもう一品、エスカルゴバターをオーダーして欲しい。きっとこの店へ訪れた特別感が増すことだろう。
文/TAKAKO NEZU
★レストラン香味屋HP
http://www.kami-ya.co.jp/honten/
店内の画像(お店のHPより。)