もうすぐGWですね。既にお休みの中の計画を立てている方もきっと多いことでしょう……。海外旅行の計画を立てている知人が、世界情勢が不安定になり、申し込んでいたツアーの燃料サーチャージが上がってしまった、と話していました。確かにニュースでよくそんな話題を耳にします。
何にせよ、計画通りにいかないことを想定しておかないといけない、ということなのでしょう。生きていると何が起こるかわかりません。
最近のこと、普段からとても用心深く生活をするタイプの身近な人から、「転んで両手首を骨折した」と連絡をもらい、「まさか、まさか」と言葉を失うくらい驚いたのですが、状況を聞いたら、普通に道を歩いていて、おそらく何かに躓いたのだと思うけれど、瞬間、飛んだような感覚で気が付いた時にはもう転んでいて、その時に両手をついたようで……との話。両手首を骨折って、、、相当不便なはずですし、一時的とはいえ、生活が一変してしまいます。
でもきっと、何かが起こってしまう時ってそんなもので、どんなに気を付けて生活をしていても、起こる時は起こってしまうのです。
震災、火事、洪水、コロナ……私たちはこれまでも自分の力ではどうにもできない、予想もできない恐ろしいことをいろいろ経験しながら、それでも今、ここにこうしてある(いる)のです。
ここにある(いる)からには、それなりの覚悟をもって生きなければならないということのでしょう、きっと。
みなさんは、世界の終わり、地球が終わる時を想像したことがありますか?
世界が終わる時、地球の呼吸はどんなふうに止まるのでしょう?
そして、もしもその日まで自分が生きていたとするならば、何を思い、どんなふうにその日を迎えていると思いますか?
さて、今回ご紹介する映画は、『サンキュー、チャック』。
名作映画『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』の原作者、スティーヴン・キングが2020年に発表し、読む人の人生を変える新たなる傑作と称賛された小説、「The Life of Chuck」を映画化した作品です。

●『トロント国際映画祭観客賞受賞!』~マイク・フラナガン監督は自らの最高傑作を作りたいと願った~
マイク・フラナガン監督が原作を読んだのは、ちょうどコロナのロックダウンの直後だったのだそう。「ちょうど世界が終わりそうな感覚があった時期です。私たち全員が日常から切り離され、どこか黙示録的な空気の中に放り込まれた、非常に大きな転換期でした。」と、原作との出会いについて語っています。
実際に映画を観てみると、観たことのない何かを観ている感覚になります。
もしかしたら、本当に世界はこんなふうに、とても静かに終わっていくのかもしれないとも……。

単純に映画のつくりとしても、独特で、とても新鮮な感覚になるかもしれません。
どうやら映画の構成が独特に感じたのは、原作の構成を忠実に映画化したからのようで、監督は、「スティーヴン・キングは、私の文学的なヒーローです。彼の作品を裏切るような映画化は、私にとって壊滅的な打撃になるでしょう。彼が誇りに思う作品を作るという、計り知れない責任感を感じていました」と語っています。
また、監督は映画の在り方について、「基本的に重要なのは、物語によって現実から解放され、自分の抱えている問題や痛みをしばらく忘れることができることだと思います」とも語っています。
みなさんは映画に何を求めますか?
私はまさにこの、現実からの解放が一番かもしれません。上映中の約2時間、その世界に没頭できるかできないか、没頭できる作品に出会った時、観てよかった、と思うのです。そういった意味でも、とても満足できる映画でした。

●印象的なダンスシーンの振付師は、『ラ・ラ・ランド』で名シーンを生んだマンディ・ムーア
人はなぜ音楽やダンスに惹かれるのでしょう……。聴くだけ、観るだけで不思議と心がワクワクする、それが音楽やダンス。とても本能的なものであり、不思議ですよね。
この映画でも、ダンスシーンや音楽は欠かすことのできないものになっているのですが、そこにあるのは、単なる素晴らしいダンス、素晴らしい音楽ではなく、観る者にもっともっと強いメッセージを残します。

物語の主役を演じ、また見事なダンスシーンをみせたトム・ヒドルストンは、このダンスシーンの撮影とそれに挑むまでの練習の日々について、「私のキャリアの中で、最も自由で、最も喜びに満ち、最も幸せな時間でした。魔法のようでした」と語っています。
観る者に、生きる喜びや生きる意味までも感じさせるダンスシーンは、この映画の一番の見どころかもしれません。私も魔法にかかったような気分になりました。
個人的な話になってしまいますが、私の誕生日は5月1日で、この映画の公開日。もうじきその日がやってきます。その日にもう一度、この映画を観ようかな、そんな気持ちで今います。
また、トム・ヒドルストンはこんなメッセージを残しています。
「観客一人ひとりにこう語りかけるのです。あなたは無限だ。あなたの人生は魔法だ。だから両手でそれを抱きしめねばならない」と。
ここにある(いる)限り、何が起こったとしてもそれを受け止め、自分の人生をしっかりと生きよう、そんな気持ちにさせてくれる映画でした。
「スタンド・バイ・ミー」のように、長く愛される映画になる予感がします。ぜひ、ご覧ください。

