暑中お見舞い申し上げます。猛暑日の連続ですが、いかがお過ごしでしょうか?まだ8月になったばかり……夏休みもいよいよ本番ですね!
休暇の予定は立てましたか?私は何かひとつくらい夏らしいことをしたいなぁと思いつつ、まだ計画も実行もできていません。“夏だ!バカンスだ!”とばかりに、何処かへぴゅ~んと飛んで行きたい気持ちはあるのですが、リアルな休日は、「うわっ、今日も暑すぎる、家にいよう」「夜な夜な映画でも観に行くか……」となり、でもそれはそれで満足。
そして、そんな日常に彩りを与えてくれる動画のサブスクは、ほんとありがたいです。つくづく、いい時代だなぁと。
だって、いろいろな海外ドラマを観ていると、まるでその街やその時代を旅しているような気分になりませんか?私が海外の映画やドラマが好きな理由には、そういうところが多分にあります。
余談ですが、Netflixでシーズン3まで配信されているアメリカの人気テレビドラマ、『ブリジャートン家』をご覧になった方は多いかもしれません……。
19世紀初頭のロンドンを舞台にした作品なのですが、社交界を舞台にした時代劇ならではの映像のゴージャスさと、ストーリーの面白さが相まって、私は大好き。
そのドラマのシーズン1で、それはそれはとても可愛いヒロイン、ダフネ(フィービー・ディネヴァー)の相手役の公爵を演じた、レゲ=ジャン・ペイジが、これまたとてもカッコよくて、すごく印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する映画、『ブラックバッグ』には、なんと、そのレゲ=ジャン・ペイジも名優とともに名を連ねています。
もうそれだけで、みたい!と思う人が多いかもしれませんね。

●ストーリー
英国の国家サイバーセキュリティセンター<NCSC>のエリート諜報員ジョージ(マイケル・ファスぺンダー)に課せられた機密任務<ブラックバッグ>は、世界を揺るがす不正プログラム<セヴェルス>を盗み出した組織内部の裏切り者を見つけ出すこと。
その容疑者は5名。<NCSC>の同僚で友人でもある4名に加え、5人目はジョージの愛妻で<NCSC>で最も有能な諜報員キャスリン(ケイト・ブランシェット)だった。
ミッションのタイムリミットは1週間。妻が国家を裏切った容疑をかけられ、ジョージは結婚生活への忠誠と祖国への忠誠の板挟みになるという究極の試練に直面する――。
●スティーヴン・ソダーバーグ監督と脚本家デヴィッド・コープによるミステリーサスペンス
スティーヴン・ソダーバーグ監督の代表作、『オーシャンズ』シリーズのファンもきっと多いと思うのですが、今回もまた、その完成度に驚くことでしょう。
映し出される映像は、細部にまで拘ったからこそ真逆のナチュラルさがあり、ロンドンの街並みや室内の造形がとても美しく、リアリティがあって、眺めているだけで、まるで自分がロンドンで暮らしていような気分になりました。
又、裏切り者は一体誰なのか?
登場人物一人ひとりのとても繊細な表情の変化も、見どころのひとつです。
脚本家を務めたデヴィッド・コープは、『ミッション・インポッシブル(96)』『スパイダーマン(02)』など、多くの超大作を手掛けた名手。
ストーリー展開は実に巧妙で、ただ、今回とても面白いと感じたのは、映画のストーリーによくある、「世界を揺るがす不正プログラムを盗んだ国家組織の裏切り者を見つけだす」というミッションでありながら、飛行機がアクロバティックに飛んだり、船が沈んだり、超高級車が街の中を無茶苦茶に走りまくったりするようなド派手な演出はなく、ある意味とても静かな心理戦で世界を救う、というのがとても新鮮で、うまいなぁ、と思った次第です。

●あなたは誰に感情移入する?
個人的な感覚かもしれませんが、ずっと同じ演者というわけではありませんが、最初から最後まで、あらゆる場面で、演者の誰かに、必ず共感ポイントがあるような気がします。
相手にこういわれたら?こんなふうに質問されたら?私もきっとこう返答するだろうな、という感覚です。心理戦だからこその面白さなのかもしれません。
そして、俳優陣のファッションにも注目です。派手なかっこ良さではないのですが、男性陣も女性陣もどの衣装もとてもしっくりとくる美しさがありました。
特に5代目ジェームズ・ボンド役、ピアーズ・ブロスナンのスーツ姿は、ボンド役時代の若かりし頃とはまた全然違うかっこ良さがありました。歳を重ねるお手本のようなかっこ良さですね。
上映時間は最近の映画では珍しい、短めの94分。そしてそれは、とてもとても計算された94分でした。
一瞬たりとも見逃さないで下さい。そして、一旦スタートしたら絶対に後戻りはできません。
観る者の推理とともに映画は進行していくのです……。
観終わると、まるで推理小説を1冊読み終えたような気分にもなれるという、いろんな意味で面白味のあるおすすめの映画です。
ぜひご覧ください。
『ブラックバッグ』(原題:Black Bag)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本・製作総指揮:デヴィッド・コープ
出演:ケイト・ブランシェット、マイケル・ファスベンダー、マリサ・アベラ、トム・バーク、ナオミ・ハリス、レゲ=ジャン・ペイジ、ピアース・ブロスナン
2025年/アメリカ/スコープ・サイズ/94分/カラー/英語/5.1ch/日本語/字幕翻訳:松崎広幸
日本公開:2025年9月26日(金) 全国ロードショー
配給:パルコ ユニバーサル映画
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