【根津孝子×エッセイ】2026年2月27日公開映画『レンタル・ファミリー』~あなたは誰をレンタルしたい?~

2026年1月も後半に入り、冬真っ最中の日本列島ですが、寒さに負けずいつものようによく動いています。日々起こることに対応するのに一生懸命な毎日ですが、動ける自分に、健康に感謝です。

毎年のことですが、1月は他の月より長く感じます。年末年始のバタバタの延長であれこれイレギュラーな用事が多いからかもしれません。

今日は1月21日。さっきカレンダーを眺めながら、「おっ!まだ1月は10日もあるのか」と、ちょっと嬉しくなりました。時間を大切にしたいですね。

今年も沢山の映画を鑑賞したいと思っています。引き続き、本サイト『Beauty Museum』でもおすすめの映画をご紹介させていただきますので、楽しみにしていてください。

さて、2026年、最初にご紹介する映画は『レンタル・ファミリー』。

そのタイトルから何となく物語の背景が想像できそうですが、いい意味でその想像を超えてくれます。

時折ふっと吹き出すような面白さもあり、ジーンとして、ほろっとくる場面もあり、そしてまた映画らしい映像美もあり……。

日本人として日本を、日本人の気質を再発見できる映画です。

主演はアカデミー賞®俳優、ブレンダン・フレイザー。100%日本ロケ。かつてのイケメン俳優のリアルな今の姿とその名演技に注目!

何の下調べもなくこの映画を観たとしならば、あのアクション・ファンタジー映画『ハムナプトラ』で超ワイルドイケメンだったブレンダン・フレイザーがこんなにふんわりとした優しい雰囲気のアメリカ人になったことにまず驚くかもしれません。

そして次に驚いたのは、ブレンダン・フレイザーが日本語を話すこと。役どころが、7年前に日本の歯磨き粉のCMに出演したことがきっかけで日本に移住してきたお世辞にも活躍しているとは言えないアメリカ人俳優、ということなので日常会話はできる必要があったのでしょう。

とはいえ日本人の俳優が英語を習得してハリウッド映画に挑むという話はよくありますが、その逆は珍しいことです。劇中の半分は日本語、半分は英語で進行します。

またロケーションは、今や東京の観光名所でもある渋谷のスクランブル交差点に始まり、ビル群、リアルな生活が見え隠れする東京の街、住宅街、更に島原、天草の雄大な風景へと展開します。

春。桜が満開の季節。ひらひらと舞う桜の花びら……。私たち日本人であれば見慣れた景色のはずなのに、改めてスクリーンを通して観るその景色に、「日本、キレイ!」と思わず言ってしまいそうになります。

ブレンダン・フレイザー演じるフィリップが、日本の景色とそして、レンタル・ファミリーとして入り込む複雑な人間関係に次第に馴染み、なんだかアメリカ人でもなく、どこにでもいそうな日本人のおじさんにみえてくるから不思議です。

『レンタル・ファミリー』の核心は繋がりへの渇望なのか?

読者のみなさんの中には、今孤独を感じている人がいるかもしれません。そしてその孤独を癒そうと仮の家族や友達をレンタルしたいと思っている人、あるいはしたことがあるという人がいるかもしれませんね。

アメリカ生活が長く、大阪生まれの日本人監督、HIKARI監督は、2018年頃から、本作品の着想ともなった日本各地に存在する「レンタル家族産業」の研究を始め、現在日本には約300社が存在すると話しています。

なぜ日本でこれほどまでにレンタル家族のビジネスが存在感を強めてきたのでしょうか?

その理由のひとつに、日本ではアメリカに比べ、セラピーやメンタルヘルスのサービスが容易に利用できないこと、また、日本人は対面で専門のセラピストと話すことに抵抗があると監督は話します。

確かに私自身も抵抗があるし、例えば専門のセラピストにアドバイスを受けたとしても、それを100%信じられる自分はいないと思います。

一方で、日本人はそういった専門家ではなく、もっと気軽に悩みを共有できる相手だったり、ただ会話をしたりする相手を求めていて、その結果、この類のビジネスが約300社にも及んでいるのかもしれません。

HIKARI監督は、映画を観終わった観客が「自分の人生でどんな役割を誰に演じてもらおうか」と自問するのを願っている、と語っています。

あくまでもそれは、“仮り”であることがこの映画のミソであり、レンタル・ファミリーの所以ではありますが、でもそんな仮りのシチュエーションだからこそ、露出する本音に共感が生まれます。

圧倒的な存在感を放つ日本の名優、柄本明さん。

脇を固める俳優陣にも注目です。キャスティング欄にその名前をみたら、もうそれだけで面白い作品に違いないと思ってしまう柄本明さんですが、今回も物語のひとつの軸となり、主役のフィリップ(ブレンダン・フレイザー)と絶妙な関係を築きあげます。
ブレンダン・フレイザーが話す日本語に驚いた、と先に書きましたが、榎本明さんが話す流暢な英語にも同じくらい驚きました。
きっと、この映画を観た海外の人たちは、日本にはこんなに素晴らしいベテラン俳優がいるのかと思うことでしょう。
この映画をみた外国人は、日本人の気質や日本人の生活をその演技や演出から知った気になるかもしれません。
いろいろな意味で、この映画が海外で大絶賛されている理由が観ればきっとわかると思います。
映画ファン必見です。


『レンタル・ファミリー』
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。そこで見つける、生きる喜びとは?

アカデミー賞®俳優ブレンダン・フレイザー、日本を代表する多彩なキャストとともに、注目の日本人監督HIKARIが日本を舞台に贈る、世界が経験したことのない未知の出会いに満ちた、感動ドラマ。

キャスト
ブレンダン・フレイザー, 平 岳大, 山本 真理, 柄本 明, ゴーマン シャノン 眞陽ほか
監督
HIKARI