《第1回 世界の妄想ヒゲ図鑑》ベルリンの歌うたい

男女が付き合うときって、自分にないものを持った人に惹かれるようになってるんだって。これは内面の話ね。生物学的な話らしく、人類が進化するためにお互い足りないものを補って、協力して生きていくよう遺伝子に組み込まれているっていうから、人間ってよく出来ているわね。

反対に外面、顔や肉体は、自分と似ている人を求めるらしいの。ちょっとこれを聞いて思ったんだけど、そもそも男女では骨格はもちろん、付いてるもモノも違うし、似ている男女なんているのかしら?

わたし思ったの。これって男女の話じゃなくて、ゲイの話をしてるんじゃないかしら!って。そもそもこの話をしていたのが、5時に夢中のコメンテーター、若林史江さんなんだから、あり得る話よね。

男ってナルシストが多いでしょ? 特にゲイってストレートの男より見た目に気を使うじゃない。毎日鏡に向かう時間が多いと、自ずとナルシストになっちゃうよ。

嘘だと思うなら二丁目に行ってごらんなさい。今の時期だとアバクロのTシャツとハーフパンツ着ている、見た目も背格好も似たホモップルが手を繋いで歩いてるから。

ベルリンの歌うたい

このヒゲちゃんはベルリンの蚤の市で見つけたの。かわいいでしょー!

この小汚い感じがそそるのよ。冬用の服はこれしか有りません!みたいな、着古して所々摩り切れちゃってるジャンパーに、男性フェロモンが染み込んだニット帽。これにブチャイクなビーグル犬が側にいたら完璧ね。

私ね、こういう男に弱いのよ。自分では絶対に真似できない。真似たとしても全然似合わないだろうし… そもそもヒゲなんて生えないのよ。男臭いことなんて1つもできないわ。運動も嫌い!ましてや汗も殆どかかないから、文字通り男「臭い」なんて無縁なのよ。

この点からいうと、私は若林さんの言う、自分と似た見た目の人を好む説は当てはまらないわね。別に私は特別〜とか言いたい訳じゃないわよ!事実、二丁目の話じゃないけど、同じような見た目の人同士の方が、くっつく確率な高いんだから、そっちの方が幸せに決まってる!私と男臭いヒゲちゃんとでは需要と供給が合致しないのよ。マーケットが違うの。

そういえばヒゲの話をしてなかったわね。みなさん、ヒゲの匂いって嗅いだことってあるかしら?お父さんの枕の匂いとはちょっと違う、動物的でモフっと優しく包み込むような「オス」の香りがするの。これね、ワンちゃんの足の裏の匂いじゃないけど、ハマるのよ〜。

ずっとクンクンしていたいわ。

あとね、ヒゲの匂いって日によって変わるのよ。ヒゲが1日の匂いを全てキャッチしちゃうの。例えば、タバコを吸う人なら、朝方の喫茶店のようや香りがするし、中華を食べた後なら、ニンニクの良い匂いがヒゲに残ってるのよね。私が1番好きなのは梅雨の時期に1日働いて、ちょっとおヒゲもオイリーで湿気を帯びた感じの男臭〜い香り。この匂いが1番その人の生活やキャラクターを表しているのよね。

ベルリンの彼なら、昨晩飲んで抜けないお酒の匂いと、朝食べた茶色い田舎パンのちょっと酸っぱい匂いに、付け合わせのソーセージの油の匂いがするんじゃないかしら。

わたし、ヒゲのソムリエになりたい。

文 / カネ子

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