東京の街を歩いていると蕎麦屋が多いな、と思うことがしばしば。駅構内の立ち食い蕎麦やチェーン店の蕎麦屋、街に根付いた蕎麦屋などいろいろだが、今回ご紹介するお店は、蕎麦の名店『室町 砂場 赤坂店』。決して蕎麦好きというわけではなかった私がここの蕎麦を初めて食したのは10年ほど前のこと。その時、「あぁ、粋な味、粋な蕎麦の食べ方とはこういうことをいうのか。」と思った記憶はとても鮮明で、田舎者の私が「やっぱり、東京ってなんかいいよね。」と、言葉では言い表せない気持ちになったことを覚えている。それ以来、粋な蕎麦を食べたくなると行くお店だ。
『粋』という使い古された言葉。生粋の江戸っ子の知人に、「粋って何?」という訳のわからない質問を投げてみる。「い、粋ぃ?粋ってのはさぁ…、意味って言われてもなぁ…、んー、粋は粋だよ。」そうつまり、粋は粋なのだ。
東京には粋な蕎麦の名店がいくつかある。でもここにしかない一品があり、私の場合、蕎麦はもちろんだが正直それ目当てのところも否定できない。その一品とは、茶碗蒸し。ここへ行ったらぜひ茶碗蒸しも食して頂きたい。きっと忘れられない味になるだろう。
玉子焼きに始まり、焼き鳥、茶碗蒸し、そして〆の蕎麦は二枚。いや、本当は三枚いけるところを二枚で我慢……。粋な江戸っ子は、蕎麦は“枚”で数えるのが流儀らしい。“一人前”ではないのだそうだ。まぁ、それも納得。なぜなら3回ほど箸ですくったらあっという間になくなってしまう、一枚がなんとも粋な量なのだから。
「ありがとう存じます。」というあまり使い慣れない丁寧な挨拶言葉が違和感なく行き交うタイムスリップしたような店内。やっぱり東京ってなんかいいんだ。
★室町 砂場 赤坂店
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