昨今のロハスな風潮は流行を終え、むしろ一般的な考えと変わってきました。食べるものから、自分のライフスタイルまで、ひとつひとつ自然と己を大事にし生きていくこと、そんな思想が根付いてきているのように思います。しかし、オーガニックという言葉だけが先行しオーガニックの本当の意味を理解している人は一体どれほどいるのでしょう。オーガニック=正義、という考えは危険だということを知っていましたか?
目次
「オーガニック=有機栽培の」有機って何?
Organicを辞書で引くと、「有機の」とでてきます。では有機とはどういう意味でしょう。有機とは動植物質の自然からできたもので、化学物質ではないものを指し、オーガニック野菜でいう有機というのは化学肥料や農薬を使わず、糞尿や堆肥を使用した栽培方法を指します。2007年から有機JAS法が制定されて以来より一層基準が厳しくなり、安易にオーガニック(有機栽培)とうたえなくなりました。しかし有機JAS法にも抜け穴があるのです。
有機JAS表示があるからって安心はできない?
有機野菜を名乗るにはいくつか条件があります。特に重要な項目は、
1 農薬、化学肥料を3年以上使っていない畑で栽培されたもの。
2 年に1回、調査員が入り有機JAS法のもと生産されているか確認が必要。
の2点かと思います。ここで細かな概要を見てみると抜け穴がどんどん見えてきます。例えば1の農薬、化学肥料に関する項目には例外として法律で認められている農薬があることはご存知でしょうか。通常の農薬や化学肥料を使用した野菜と比べたら微々たるものかもしれませんが、有機野菜として売られていることには疑問が残ります。
続いて2の調査が入る項目。こちらも年1回というところが引っかかります。会社勤めをされている方なら経験したことがあるかもしれませんが、年に数回個人情報取り扱いの調査が入ることがありますよね? でも大抵の場合は予告文書が先に配られるので、その日だけはデスクの上に個人情報が記載された書類は置いとかないようにしましょう、などと上司から通告されたりします。2の項目もこれと同じことが言えると思います。抜き打ちで不定期に監査が入らない限り、いくらでも対策可能です。
有機野菜、無農薬野菜、無印の野菜 どれが1番安心?
有機JAS法があっても安心はならないことはお分かり頂けたと思いますが、その他にも無農薬野菜、なにも表記されていない野菜などありますが、結論から申し上げますと、どれも本当の意味で農薬、化学肥料が使われていないとは言い切れません。ちなみに無農薬野菜とは読んで字のごとく農薬を使用しないで栽培した野菜のこと。でも化学肥料については特別明記されているわけではありませんよね。無印の野菜も同じです。結局のところは、農家さん(生産者)を信じるしかないのです。表記があるかないかではないのです。究極をいうと自分で栽培しない限り、100%有機栽培の野菜を作ることはできません。
オーガニックとの向き合い方
さて、これまで散々悪いことばかりお伝えしてきましたが決してオーガニックにネガティブな印象を持っているわけではありません。オーガニックとは一種の考え方だと思うからです。環境に配慮しながら、地球と人間が共存していく方法の一つがオーガニックであり、化学肥料を使っているか使っていないかは、また別の問題。それよりも多くの人が環境について考えはじめたことに価値があり、これからも続けていくことが重要です。
文 / RYO KANEKO