2019年9月28日。私(根津孝子)の著書が発売にいたることになりました。本のタイトルは『「すきやばし次郎」小野禎一 父と私の60年』。約1年かけて取材を重ね、1冊の本にまとめました。
装丁家、三村淳先生に手掛けて頂いた美しくインパクトのある装丁と、写真家、戸澤裕司さん撮影の写真、また、私の仕事仲間でもある、金子良さんが作った消しゴムはんこを使用した装画もとても味わい深く、本づくりに関わって頂いたすべてのみなさまに感謝の気持ちでいっぱいです。
ぜひ、多くの方に読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。
以下、本の紹介文より。
座右の銘を聞かれたら、迷わず
「継続は力なり」と答えます。
なぜならば、私は小野二郎という人を
一番近くでみてきましたから。
小野禎一
日本一の鮨店「すきやばし次郎」で、現在93歳、世界最高齢の三ツ星料理人・小野二郎とともにつけ場に立つ長男・禎一(よしかず)のロングインタビュー。
幼少時代の思い出から、人生の岐路と選択、鮨職人という仕事、天才といわれる父・二郎との関係をありのままに語った半生記は、期せずして出色の職人論・仕事論ともなっている。
目次
●はじめに
●小野禎一関連略年譜
●第1回 取材記録(2018年7月14日・土曜日)
2008年版『ミシュランガイド東京』で日本初の三ツ星を獲得した時のおはなし。
禎一さんが生まれた年の大きな出来事。
禎一さんが長男っぽくない理由。幼少期、バラバラになった家族のこと。
決して豊かとは言えない少年時代。禎一さんと弟。母の教育方針。
父親の握る鮨。食べたことのある弟と、食べたことのない兄。
◎第1回取材のこぼれ話 この日の二郎さん
●第2回 取材記録(2018年8月4日・土曜日)
やんちゃだった中学時代。つまりそれは、不良少年?
「くそババア」と母に言った弟と、言えなかった兄。警察官より怖い父。
意外にも硬派な高校時代。
古武道「荒木流拳法」との出会い。
夢と現実とのはざまで。就職について考えていたこと。
困難だった就職先探しと、今でも脳裏に焼きつくあの時の父の姿。
◎第2回取材のこぼれ話 「すきやばし次郎」でのお鮨の食べ方
●第3回 取材記録(2018年9月1日・土曜日)
料理人の道へ、長い旅のはじまり、はじまり。
腕を上げるチャンスが詰まったまかない作り。料理の復習は帰宅後の深夜に。
意外に早く訪れたひとつの転機と、二郎さんの教え。
忘れない、忘れられない親方の言葉。
それでも実際には決まっていなかった覚悟。本当に覚悟が決まった〝あの日?のこと。
◎第3回取材のこぼれ話① 二郎さんの子育て、職人育て
◎第3回取材のこぼれ話② ジョエル・ロブション氏と二郎さん
●第4回 取材記録(2018年9月22 日・土曜日)
「すきやばし次郎」での新しいスタート。他者を認める心が自分を成長させる。
共に働く弟について、父について、当時感じていたこと。
市場に行く習慣から学ぶ、たくさんのこと。鮨職人の修業10年説について。
バブルがはじけた頃から大きく変わった「すきやばし次郎」の客層。
つけ場とお勝手の境目に立つという大切なポジション。
水谷八郎さんの独立と禎一さんの転機。任せてもらえない常連さんへの握り。
◎第4回取材のこぼれ話 二郎さんの小話とギネス認定
●第5回 取材記録(2018年10月13 日・土曜日)
二郎さんが築地市場に行かなくなったきっかけと、禎一さんの変化。
「次郎スタイル」の誕生。懐石料理やフランス料理のコースのように。
六本木ヒルズ店のオープン。忘れられないあの日のこと。
日々の繰り返しの中で自然にわかる父の教え。継承される二郎さんの教え。
◎第5回取材のこぼれ話 想像以上に忙しい禎一さん。二郎さんの誕生日
●第6回 取材記録(2018年11月17 日・土曜日)
経営者としての禎一さんの誕生と、二郎さんの変化。
嬉しかったあの言葉と日々の反省。
心して始めた2つの新しい挑戦。
映画「二郎は鮨の夢を見る」撮影秘話。
禎一さんが語った「鮨屋」と「ディズニーランド」の共通点。
◎第6回取材のこぼれ話① 二郎さんが語る、隆士さんが二郎さんの握るお鮨を食べたあの日のこと
◎第6回取材のこぼれ話② 銀座で一番きれいな「塚本総業ビル」のおはなし
●第7回 取材記録(2018年12月8日・土曜日)
オバマ大統領が来店した時のおはなし。
食いしん坊のお友達――禎一さん流友達のつくり方。
◎第7回取材のこぼれ話 二郎さん秘伝のレシピ、イカ漬け
●第8回 取材記録(2019年1月19 日・土曜日)
二郎さんの好きな御雑煮と、弟子の亮さんが語った禎一さんの職人技。
いつしか生まれた警戒心。二郎さんとの共通点。
二人の甥へきつく言ったこと。
◎第8回取材のこぼれ話 二郎さんのギネス申請
●第9回 取材記録(2019年2月23 日・土曜日)
黒子に徹する禎一さん。愛、尊敬、そして自信。
弟子を育てるということ。急がば回れ。
交差する思いやり。
これから先の30年をこう読む。先を読む力。
◎第9回取材のこぼれ話 歴史的な一日の立役者になれた日
●第10回 取材記録(2019年4月8日・月曜日)
上田さんの生い立ち。二人に共通する生き抜く力。小野家のしつけ。
大人になって信頼できる友人をつくるということ。
●第11回 取材記録(2019年4月9日・火曜日)
同志として生きる、2つ違いの兄と弟の共通点。
再び小野家のしつけ。
言葉はいらない。
二郎さんの握ったお鮨を、真正面に座って食べた時のこと。
●第12回 取材記録(2019年5月11日・土曜日)
もしもこの先……
そこにあるのは至ってシンプルな思い。
●おわりに
●この本の読者のみなさまへ 小野禎一
著者プロフィール
根津孝子 (ネヅタカコ)
1970年、熊本県生まれ。フリーライター。
実践女子短期大学を卒業後、新日本製鐵、パソナグループを経て2006年フリーに。2004 年、養父母とともに初めて「すきやばし次郎」を訪れて以来、現在では月に一、二度通うほどに。毎年、二郎さんの誕生日に長い手紙を送るのがいつしか習いとなった。