【根津孝子×エッセイ】2026年3月27日(金)公開映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』~監督 田中トモロヲ 脚本 宮藤官九郎 「東京ロッカーズ」の軌跡~

サクラの便りも届き始め、学生サンたちは春休みの真っ最中。お花見の計画を立てている方もいらっしゃるかもしれませんね。

歳を重ねるにつれ、時が経つのが早く感じるとはよく言われますが、今年も桜が咲いた♪と思うと同時に、1年経つのがなんて早いんだ!と思い、大きな変化のない1年を有難く思う反面、この先の人生、魂を揺さぶられるような何かに出会うことはもうないのかな?なんて少し寂しく思うこともあります。

さて、今回ご紹介する映画、『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、ある人たちが魂を揺さぶられたリアルな1年間の出来事に、フィクションを織り交ぜた作品です。

それは、1978年のこと。「東京ロッカーズ」とよばれる日本のロックシーンに起こったパンク・ロック・ムーブメント。

その1年が怖いくらいに長く感じ、それは決して過去ではなく、時代を超えた今も息づいているのです。

●「東京ロッカーズ」とは?

特定のバンド名ではなく、1978年起こった日本で初めてのパンク・ロック・ムーブメントの総称。

当時の日本の音楽シーンに対する反発と新しい表現への渇望から生まれました。

その功績は、日本のロックを変えたこと。

ライブハウスを拠点に大手レコード会社に頼らず自分たちの力で音楽を作り、発信した彼ら。

これは、後の日本のインディーズ(自主制作)文化が生まれるきっかけとなり、1980年代以降の多くのバンドに大きな影響を与え続けています。

●原作:地引雄一「ストリート・キングダム」主演 峯田和伸
そして、伝説的なミュージシャンを演じたのは、若葉竜也・吉岡里帆・中野太賀・間宮祥太朗・大森南朋・中村獅童ら錚々たる俳優陣

田中トモロヲ監督は本作品に関するインタビューの中で、原作を読んだ時、次の作品を撮るならこれだ!と思ったと語っています。それもそのはず、田中監督自身がパンクやこの東京ロッカーズというムーブメントに影響を受けた一人であり、ガッツとセンスがあれば、きっと自分にも何かできることを学び取り、漫画を描き、音楽を始め、役者をやるようになったのだと。

また、主役ユーイチ役は監督が絶大な信頼を寄せる俳優、峯田和伸をキャスティング。どの作品も独特の世界観を必ず生み出す宮藤官九郎さんの脚本に見事にマッチしていました。

更に、それぞれに超、超、超、個性のあるミュージシャンを演じた俳優陣。

正直、試写しながら、「え~~~え~~~え~~~」と心の中で叫びつづけていました(笑)。

役者の皆さんの演技が意外すぎて驚くのは勿論なのですが、大真面目なシチュエーションなのに、笑いたくなるシーンの連続で。これがやはり、宮藤官九郎ワールドなのですね。

いい意味でこの映画に必要な違和感が混在し、パンク・ロックに精通していない人であっても、一つの映画としてすごく楽しめる作品に仕上がっています。

●当時はすごかった、というだけではない。パンク精神は今の時代に一石を投じる

田中監督と宮藤さんは映画のテーマについて話をしているうちに、東京ロッカーズが自己表現していることと現代の若者がSNSで発信していることが、実はとても近いのではないか、という話になったのだそう。

発信するツールややり方は時代とともに変化したけれど、大切なのは、「ないなら自分たちでやる。大切なのは自分が本当にやりたいことをやっているかどうか」であると。

ダサくても、恰好悪くても「自分の踊りを踊れ!」「自分の音を鳴らせ!」そんなメッセージをぜひ受け取って欲しいと。

私はパンク・ロックの素人で、東京ロッカーズのことを知らずにこの歳まで生きてきました。でも試写の帰り道、もっと早く知っていたら……、という気持ちになるとともに、やる気スイッチが入りました。

だから踊ります、自分の踊りを(笑)。

この春、おすすめの映画です。ぜひご覧ください!


★公式サイト:https://happinet-phantom.com/streetkingdom/