【根津孝子×エッセイ】2026年6月5日(金)公開映画『アン・リー はじまりの物語』~実話に基づく熱狂と感動のミュージカル映画~

今年のGWが終わりました。楽しい時間をたくさん過ごしましたか?私はランニングをしたり、遠くまでウォーキングをしたりして、いつも以上によく動いておりました。やっぱりこの季節は外で遊ぶのが一番気持ちがいいですね(笑)。

映画も何本か観ました。超話題作の『ウィキッド 永遠の約束』『プラダを着た悪魔2』も観ましたが、私は断然『ウィキッド』の方が好み。その音楽や歌もいいですよね。映画を観た後、余韻に浸ろうとサントラを買ってしまいました。多分飽きるまでしばらくは部屋でサントラを流しています♪

ここのところ連続してミュージカル映画を観る機会があり、改めて、自分はミュージカルやミュージカル映画が好きなのだな、と再認識したのですが、「いやちょっと待てよ、もしこれを日本人が演じていたとしたら、まともに観ることができるだろうか?」とも思います。その一方で、日本人が演じる舞台のミュージカルは大好き。特に『劇団四季』は最高だ!と常々思っています。

観ている側からすると、その難しさをあまり感じることはないのですが、実はミュージカル映画ってとても難しいのかもしれませんね。

ミュージカル映画好きの人の中には、『マンマ・ミーア』(2008年)を観たことがある人が多いかもしれません。世界中で大ヒットした映画で私も大好きな作品です。

劇中で主役のメリル・ストリープ(ドナ役)の娘を演じた、アマンダ・セイフライド(ソフィ役)を覚えていますか?

あの何ともいえない、金髪、白人のナチュラルな美しさ。そしてその素晴らしい歌とダンスに心が躍りました。明るくて、元気いっぱいの娘役です。すごく印象に残っているのではないでしょうか?

映画ならではの島や海の景色の美しさとも相まって、アマンダ・セイフライドの生命力に溢れた演技力が際立ち、爽快感がありました。

今回ご紹介する映画は、そのアマンダ・セイフライドが、主役アン・リーを演じています。

映画のタイトルは、『アン・リー はじまりの物語』。

私にとってこの映画は、「観る価値のある映画」という表現が一番しっくりきます。

ここにレビューを書こうとしても、正直、あまりにもその印象が複雑すぎて簡単に言葉にできません。それくらいアマンダ・セイフライドがまたすごい演技をみせてくれています。

これは、実話に基づいた本当の物語。私たちが知るべき“はじまり”の物語です。

宗教?思想?それだけではありません。アン・リーが今を生きる私たちに残したもの、それは……。

『アン・リー/はじまりの物語』2026年初夏日本公開決定!第83回ゴールデングローブ賞® アマンダ・セイフライド ノミネート!主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)
©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved

●アン・リーについて

1736年。イングランド北西部のマンチェスターで鍛冶屋の次女として生まれる。

18世紀という時代に性差や人種を超えた人間の平等を唱え、自らをキリストの女性的化身と信じ、たった8人信徒とアメリカに渡り、“シェーカー教団”と呼ばれるユートピアを築いた女性。

その劇的な生涯は開祖としての立場だけでなく、現代でも「シェーカースタイル」と呼ばれ愛され続けているシンプルで美しい家具や家財道具をこの世に送り出し、私たちの生活の一部として根付いています。

Put your hands to work, and your hearts tio God.

(手は仕事に、心は神に。)※アン・リ―が残した言葉

●15分のスタンディングオベーション@ヴェネチア国際映画祭

本作品ですが、2025年、第82回ヴェネチア国際映画祭で、史上最長となる15分間のスタンディングオベーションを受けたのだそう。私が目にしたこの映画の冊子には、「圧倒的」という言葉を使って映画を一言で表現している人が多いのが、とても印象的でした。

・「傑作……アマンダ・セイフライドは圧倒的だ」

・「アン・リーの簡潔さと神聖さへのビジョンに妥協なく忠実で、一コマ一コマが圧倒的だ」

等々。

そして、私も御多分に洩れず、圧倒され、絶対にこれまで観たことがない映画であると感じました。

その映像は、豪華な何かを映しているわけではなく、むしろその逆で、質素で簡素な物や人々をずっと映しているのに、なぜこんなに荘厳な雰囲気なのでしょう……。半端ない没入感がありました。

©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved

●知らなかったことを知れる映画

家具や雑貨、インテリアが好きな人であれば、「シェーカー」という一つのジャンルを耳にしたことがあるかもしれません。

耳にしたことがなくても、多分それをみたら、「見たことがある」「使っている」「シンプルな雰囲気で好き」という人たちが殆どなのではないでしょうか……。

世界中の有名デザイナーがこのシェーカーに影響を受け、そこにオリジナリティをプラスしつつ、でもシンプルで機能的であるというベースを崩すことなく、時を超え、シェーカースタイルは愛され続けています。

私もデコレーションの多い家具よりシンプルな方が好きで、そのはじまりは知らなかったのですが、まさかこの映画を観たことで「シェーカー」のはじまりを知れるなんて!と、とても感激しました。

映画の中でも、丁寧な作業を施し、家具、雑貨、そして、教団の建物も自分たちの手で図面を引いてすべて築きます。

落ち着いたトーンの映像美は、シェーカー家具をより素敵にみせてくれています。そういうところもこの映画のみどころです。

信仰心やその信仰心からの行動には賛否があるかもしれません。でも、彼らの手仕事、今も愛される「シェーカー」というジャンルについては、ただただ本当に素晴らしいと思うばかりです。

●衝撃の物語を見届けて……

モナ・ファストヴォールド監督は、アン・リーのことを、「恐ろしいほど難しい役」といい、脚本・製作を担ったブラディ・コーベットは「生半可には演じられない」といい、その役を見事に演じきったアマンダ・セイフライドは、「私には未知の領域だった。現代的な人間だから背景を想像できないし、時代劇の経験もない。何度も不安に負けそうになった」と振り返っています。

映画全体を通して、こんなに圧倒される映画はなかなかないと思います。

そのはじまりの物語にぜひ触れて下さい。