ニューヨーク在住17年、NYの写真を撮り続け、役者、そして不動産ブローカーでもあるTakumiです。
ニューヨーク市の外出禁止令の解禁に向けてカウントダウンが始まっておりますが、現在こちらはコロナウイルス騒ぎどころではなくなっております。
先日ミネアポリスでGeorge Floydさんが警官に殺害された事件をきっかけに、アメリカ各地で暴動、抗議活動が行われておりますが、ニューヨークでもここ数日、毎日行われています。
ニューヨーク市では外出禁止令が出されてから既に2ヵ月半ほど経っておりまして、市民の我慢も限界に来ており、それもあって完全に爆発した感がありますが、とにかくコロナ騒動と重なって、アメリカは完全に混乱状態に陥っている状況です。
現時点ではニューヨークは完全にこの人種差別問題一色になってきており、外出禁止令に加えて、現在は門限まで出ている次第です。
僕もアメリカに来るまではアメリカでの人種差別問題というのは映画でしか見たことがなく、まったく理解できていない事柄でしたが、こちらに来てからその根深さに本当に驚かされました。
僕は黒人ではないので完全に理解することはもちろんできないのですが、黒人の知り合いの経験を実際に見たり聞いたりすることで、その根深い存在を認識できるようにはなってきたと思います。
日本では冗談に思えるかもしれませんが、こちらでは肌が黒いというだけで、何もしていないのに命を落とす危険が本当にあるんです。命を落とすまでに至らなくても、この人種差別問題は黒人さんたちの毎日の生活すべてに存在しており、奴隷制度があった時代と根本的にはまったく変わっていないんです。
そんな環境の中で生きていくことは、黒人でない僕には想像しても理解できるような浅いものではないのですが、世の中は不公平なものだということで済まされる問題ではないはずです。
アジア人である僕も人種差別を受けたことはありますが、アメリカ社会における黒人に対する人種差別問題とは一緒にできないところがあると思います。
これはアメリカ合衆国が出来てからずっと続いてきている問題であり、改善されるどころか状況はどんどん悪く根深いものになってきていると思います。
この問題は収入格差などの他の社会問題に広がっていき、黒人さんたちの自由はどんどん失われていく一方です。
社会格差は黒人家庭の中でも悪影響を及ぼし、小さい子供たちの人格形成にも影響を及ぼしていくはずです。黒人さんでもいい仕事についている人がもちろん多くいますが、そういう人でも黒人というだけで不利な状況の中で生きているんです。とにかくこの問題はアメリカに根付く深い闇だと思います。
どの人間社会でも差別という問題が存在すると思いますが、過去にアフリカから奴隷として連れて来られた人たちの子孫が今でも同じように扱われているのは本当に悲しいことです。
白人すべてが人種差別者ではもちろんないのですが、現在の世界には実際に白人至上主義といったところが多かれ少なかれあるのが事実でして、それを素直に認めて受け入れられる白人層は意外と少ないかもしれません。
実際に目立った差別をしなくても、その存在にきちんと気付かずに、自分たちの立場は他の人種と一緒で特別なものではないと思いながら生きていくのは、ある種とても無知で無責任な生き方だとアメリカにいると感じることがあります。
この暴動や抗議活動は、アメリカにもまだ良心が生きているんだという証明だと思います。
便乗しての意味のない破壊活動は決して許されてはならないと思いますが、反暴力的な抗議活動というのは素晴らしいムーブメントだと思います。
これを機に、今回は何か変化が起きていくのではと感じます。コロナウイルスの問題もそうですが、今年は何か僕たちの生活や習慣が大きく変わっていく転換期になっていく気がします。
日本にいるとこういった問題と接することはとても少ないと思うのですが、グローバル社会、特に、これから日本を出て何かをしたいと思う人は少しでも理解を深められるといいかもしれません。
特にアメリカで本当に根をはって生きていくには、避けては通れない問題だと思います。
今、アメリカ、ニューヨークは混乱の真っ只中ですが、これから絶対に良くなっていくと僕は思います。
そう思わせてくれるパワーを感じさせてくれるのが人種の坩堝といわれるこの街の魅力のひとつです。
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