【連載×ますだあけみ】男にとって母とは?母にとって息子とは?

『国際結婚救助隊』隊長のあけさんです。

名古屋で結婚相談所を始めて12年目。以前は日本人同士の恋愛相談や婚活スクール、お見合を行っていましたが、5年前から東南アジアの女子達とのご縁を繋げて国際結婚のお手伝いをしています。

本エッセイでは、婚活に奮闘している男性に向けて、時には辛口な𠮟咤激励を飛ばしていきます。

桜の季節ですね。桜といえば春の象徴的な存在ですが、私個人としては、木蓮の白い花が咲き始めると、今年も春が来てくれたなと感じます。

自然は誰からも指図されず、自分で咲いてもいい時期を見極め、花を咲かせます。

美しく咲く花をみていると、思い通りにならないことを思い通りにしようとする利己主義な人間の考えが、なんて浅はかなのだろうと学びます。

最近のこと、国際結婚をした二組の夫婦から相談を受けました。

一組は、夫は40代。仕事が忙しいからと、隣に住む自分の母親に、嫁に来てくれた女性のことを全て任せたのでした。

私は結婚前にこう伝えています、「お相手が日本人の女性の場合、同居はありえませんが、国際結婚の場合、同居や近くに親がいてくれると男性が仕事でいない時に声を掛けてくれて、一緒にご飯を食べてもらえるので安心です」と。

しかし、しかしです……。毎日お母さんが来て、あれこれ言われると、アジア女子もさすがに嫌になります。

一人で食事をとるから大丈夫です、と伝えても、夫は妻側に立たず、母親の気持ちを代弁します。「母が気にかけてくれているのに悪いだろう」と。

更に、夜な夜なLINEで自分の母親と、妻であるアジア女子の悪口を言い合っていました。

もう一組は、夫は30代。大きな畑を専業農家として一家で営んでいる家です。

再婚でお子さんがいたアジア女子は、畑の仕事も同居することも了承し、再婚しました。子どもについては、「子どもや国の家族は大切な存在です。子どもを置いてくるという訳ではなく、子どもには子どもの人生があるので日本には連れてきません」と結婚前に話していました。

畑の仕事には休みがありません。そしてここでもお母さんが「私が嫁いできた頃は、姑よりも早く起き、ずっと働いていた」と自分の価値観を押し付けてきます。お母さんも息子(夫)も、畑の仕事の為に結婚したのではないと言いながら、いつも畑のことばかりを言います。何より、30代の夫はいつもお母さんに相談し、妻とのLINEのやりとりは全て見せていました。

その後、アジア女子の親が病気になり、子どもは学校で問題があって、一旦帰国しました。

お母さんは何度も言います。「子どもは子どもの人生があるから心配ないと言いましたよね。こんなふうに帰ってしまって話が違う」と。

国際結婚をすると、帰国したら日本へ帰ってこないのではないかと心配されることがよくあります。言うまでもなく、仲人は人身売買をしている訳ではありません。強制的に連れてきてもいません。双方にお見合前によく説明をし、お見合後は何度も会ってやりとりをして、お互いの家族にも会って意思を確かめ、合意があって結婚をしています。

ですので、殆どの国際結婚をした夫婦はとてもうまくいっています。

しかし、母親が出しゃばり始めると、途端に歯車が狂い始めます。ちなみに、日本人同士でもよくある話です。

母親は、息子のことは自分が一番わかっている、という母心から”息子のためによかれ“と思ってやってしまうのです。こうなると何を言っても女性側がワルモノになります。

結婚はゴールではなくスタートだといいますが、私は『リスタート』だと思っています。新しい家族のカタチをお互い再出発して作っていくのが結婚であり、片側だけのルールを押しつけることや、「嫁にきたのだから」の一言で納得させようとしては、今の時代には合いません。

それぞれの価値観を認め、譲り合わないとうまくいきません。お互いの親や家族のことを思いやることができれば、更に二人の絆は強くなるのではないでしょうか。

その後、この二組は離婚話に進展していきました。二人で話し合い、納得したのならば、離婚も一つの選択です。これもまた『リスタート』と捉えたらいいと思います。

しかし、離婚にまで母親が介入し、はじめから外国人との結婚は賛成していなかったと言われると、あんなに説明もしたし、会話もしたのにと、本当に哀しくなります。そしてその時、母親に何も言えない男たち……。まるで子どものままです。

大きな会社に勤め、自立して生活しているようにみえていても、母親には何も言えず、母親が自分の一番の味方になっている親子関係は、当人たちにとっては当たり前で、おかしいことに気づきにくいのかもしれません。または、母親には反抗せず、「YES」と言っていた方がラクなのかもしれません。

毒親には二種類あると思っています。

一つは子どもを所有物のように扱い、自分の思い通りにさせたい親。

もう一つは、他人を受け入れず、親子で共依存しつづける親。

またどちらも、自分たちは間違っていないと思っています。

魚は広い海では助け合って生きていくそうですが、狭い水槽に入れると攻撃的になり、イジメをするのだそうです。人間社会もちょっと似ている気がします。

狭い地域にいることで、新参者や見た目が違うだけで攻撃的になる。もっと大きな社会の中で生きていることを実感すると、もう少し優しくなるのかもしれないと思います。

家族という特別な空間に他人を受け入れることで、新しい家族が誕生します。そうして先祖代々繋がって、現在があります。

母親も以前はその特別な空間に飛び込んできた他人だったのだから、他人の受け入れ方が一番わかっていると思うのですが、いざ受け入れる側になると……。

そういう私自身も一人息子の母親です。狭い水槽内でイジメをしないようにしたいと、今は思っています(笑)。

春、出会いの季節です。どんな出会いがあるか楽しみな季節。みなさんに、どうぞよい出会いがありますように!