【連載×ますだあけみ】トラウマと不安は別物だ!~春です、新しい一歩を踏み出そう~

『国際結婚救助隊』隊長のあけさんです。

名古屋で結婚相談所を始めて12年目。以前は日本人同士の恋愛相談や婚活スクール、お見合を行っていましたが、4年前から東南アジアの女子達とのご縁を繋げて国際結婚のお手伝いをしています。

本エッセイでは、日本人同士では気付かなかった目線でのエピソードなどをお伝えしています。

先日のこと、三大名泉で有名な下呂温泉で『国際結婚の現状』について講演をする機会をいただきました。岐阜県は下呂を始め、恵那や明智でもご縁があり、コロナ前には婚活パーティーやセミナーを開催したことがあります。

岐阜県は四方を他県に囲まれ、東海地方の拠点でもある名古屋に電車や高速道路でのアクセスが良く、現在リニアの駅も建設中です。最近では、外国人観光客の人気ランキングで、東京や京都、北海道に続きランクインしました。日本の古き良き景観や自然が多く残っていて、飛騨牛など、食文化が豊かなこともあって、とても人気です。

岐阜県ってすごいなぁ、と個人的には思うのですが、肝心の婚活関係の事情となると、20代前半女性の多くは、他県に進学や就職で出てしまい流出数が止まりません。女性の流出が多くなるとどうなるのでしょう?ご想像通り、男性余り状態になります。

結婚したいのに結婚相手がいない、もしくは選んでもらえない、恋愛に勝たないと結婚までにいかないので、独身男、いや独身中年男が増えていきます。そうなると、同居という環境を望んでいる家では、親も歳をとって、老老介護問題や介護離職問題が出てきます。

そもそも若い女性はなぜ県外へいくのでしょうか?キラキラした都会に憧れるからと思いがちですが、一番の理由は、地元に仕事が無いからなのです。

進学して帰省しようにも、働く場所ややりたい仕事の環境がなければ地元に戻ってきません。そして、男性は、今の「結婚」というシステムにおいて、住所も仕事も名前もそのままで変わることがありませんが、女性はほぼ全てが変わります。そして更に、結婚する相手によっては、アウェイ感満載の中に行くことになるのです。

下呂での講演会を企画して下さった男性が、「下呂に嫁に来ても、イオンも映画館も遊ぶところがない」と言っていました。結婚は遊ぶためにするのではななく、生活の為にするものです。下呂であればスマホやパソコンからポチっとすればなんでも届く時代です。映画だってサブスクで何本でも自宅で観ることができます。それよりも女性が選択したい仕事がないことを気付いてほしいと思いました。

田舎の人ほど、婚活相手の条件に、近くに住んでいることを希望します。それはなぜかというと、不便な所に住んでいると、出掛けていくのに時間も手間もかかるからです。そして普段はほぼ車で移動するので、乗り慣れない電車で街に出て、知らない場所やお店へは行きにくいと考えるからです。つまり、デートで失敗しそうで、街でのデートは苦手なのです。そもそも若い頃、近場の人と知り合えていたら、おそらく結婚していたでしょう。

自分は動かずに相手に田舎に来てもらいたいと考えている時点で、婚活はうまくいっていません。仮に近くで出会う事が出来ても、うまくいくとは限りません。別れた後に狭い生活圏の中で会いたくなくても、ずっと会うことになるのです。その後は噂だってつきまとうかもしれません。

下呂や田舎で国際結婚の話をした時に必ず言われることがあります。それは10~20年前の話、国際結婚をしたけれど騙された、出ていってしまった、高額な料金を支払ったという話です。だから国際結婚はもうしたくないし、”トラウマ”になっているのだというのです。

田舎に住んでいて、親と同居、農業をしていると嫁は来ない、だから当時中国人やフィリピン人を紹介され、嫁に来てくれるならと高額な料金を支払い、人身売買のようだったというのです。

そんな話を聞くといつも疑問に思うのですが、国際結婚であっても、お嫁さんが来てくれるのなら嬉しいはずなので、家具を買うとか、歓迎してあげたのかを聞くと誰もが口をつぐみます。異国の家族というアウェイ状態のお嫁さんを、腫れ物に触るかのように接していたら、うまくいくはずもありません。コミュニケーションをとれず、気付いたら出ていったというのです。一方の話だけでは真実はわかりませんが、もしも話かけて、家族で喜んであげていたら結果は変わっていたはずです。現に、その当時仲良く暮らしていた国際結婚の方にはお子さんも誕生した方が多くいます。うまくいかなかったことを10年以上”トラウマ”だと、過去に浸ったまま中年になっても、まだ相手のせいにしている人が多いのです。

そもそも”トラウマ”は言葉や暴力、出来事などによりハートに矢が刺さったままの状態。矢が刺さっているので傷が癒えず、傷が痛むのです。トラウマの対処方法は、成功体験をすると過去の記憶が上書きされて克服できるらしいのですが、それ以上に大切なことは、ご自身が思い出したくない経験をしたことを受け入れることが必要だと思います。

感情や嫌なことに蓋をしていても解決はできません。というか、国際結婚の失敗は”トラウマ”ではなく、”現実逃避”をしているだけに思えてしまいます。何かと過去の出来事のせいにして不安だと言われますが、もう10年20年経っていたら、そろそろ記憶も色褪せていませんか?トラウマと不安は別物です。

春です!大輪を咲かせたいと思うなら、種を蒔かないと芽は出ません。種も蒔かず、芽も出ない、それなのに花が咲いて欲しいと思うのは自然ではないですよね。

下呂のある小学校では、5ヶ国語が飛び交っているそうです。下呂という土地を選択し定住してくれた外国人たちのお子さんは、地域の方々の協力もあって、すくすくと育っています。家族だけでなく地域や行政の力も栄養になって、この先大輪が咲いていくのが楽しみです。

あけさんが種まきをお手伝いしますよ。みなさんのもとに、春が来ますように💕