矢野良子選手interview ~「3×3(スリーバイスリー)」で東京2020オリンピックを目指す!~

|Takako Nezu

つい先日のこと、よく仕事の現場で一緒になる知人に、「会わせたい人がいる」と言われた。“会わせたい人”=“取材して欲しい人”ということなのだが、私はその時、「あら、めずらしいこと」と思った。というのもその知人はいつもとてもクールで、そんなに熱い眼差しで私を見つめながら、「会わせたい人がいる」などと言うタイプの人ではないからだ。

「それはどなた?」と聞けば、3×3で東京2020オリンピックを目指している、矢野良子選手だという。早速Wikipediaで調べる私・・・・・なるほど、どうやらすごい選手であることはわかった。

しかし、実際に会ってみると、ただのすごい選手ではなかった、本当にすごい人だった。魅力的な人だった。私はクールな知人が熱くなる気持ちがわかった。

そして私も、ここ(ビューティー・ミュージアム)に書かずにはいられない気持ちになったのだった……。

3×3競技「東京2020オリンピック」に日本が出場権を獲得!

3月30日 (土)、アフリカ・コートジボワールにおいて国際バスケットボール連盟 (FIBA) のセントラルボードが開催され、日本が正式に3×3(男女共)の競技に出場することが決まった。

つまり、矢野良子選手にとっては、念願の2度目のオリンピック出場へ向け、現実味が増してきたというわけだ。矢野選手は現在どんな気持ちでいるのだろうか?

本当の勝負はこれから。失敗したから今がある。

これまでも様々なインタビューで聞かれる度に答えてきたことですが、やはり、私の中でアテネオリンピックで決勝トーナメント進出をかけた試合、入れたら逆転できたシュートを自分が最後に外してしまった、というのがずっと頭の中にあって・・・・・・。

悔しさや後悔というのは勿論ですが、実際、あのオリンピックを最後に引退した先輩もいて、私のせいで先輩達を決勝トーナメントに連れていけなかった、という責任もずっと感じながらここまでやってきました。

そういったことの全てが原動力になって、今もこうして選手を続けられているんだと思います。スポーツ選手というのは、勝った時のこと、調子がいい時のことというのは案外すぐに忘れてしまうのですが、負けた時のこと、上手くいかなかった時のこと、というのは、ほんと、忘れない、忘れられないと思います。

少なくとも私の場合はそうです。とにかく負けることが大嫌いだし、負けた時のことをよく振り返ります。日本の3×3出場が決まった今、とにかく今年の11月までがオリンピックに出るための勝負の時。

出たいです、本当に。一試合、一試合、とにかく結果を残さなければいけません。やるしかないですね、がんばります。そのために、ここまでやって来たんですから。

歳を重ねてもトップ選手であり続けるということ。後輩選手との上手な付き合い方。

私は今40歳です。現在のチームメイトは30代ですが、バスケット、そして3×3の選手には10代、20代の選手もたくさんいます。でもフィジカルの差は全く感じていません。

そういった意味では、練習にしても試合にしても、よく動けていますし、アスリートとしての食事やトレーニング法など、これまでの経験で学んだことが全てプラスになっていると思います。

歳を重ねたことで、フィジカル面でもメンタル面でも自分自身をコントロールできるようになったので、むしろ今の方が選手としては充実しているのかもしれません。コンディションもいいですしね・・・・・。

ただ、選手としては若い選手たちと歳の差を感じないとしても、感覚的な差は感じますよ(笑)。でも考えてみたら、私も10代の時には先輩達に“宇宙人”と言われていたんです(笑)。

そう思うと私が今、10代の選手をみて宇宙人だと思うのも仕方ないでしょう。注意ですか?しません、しません!私が注意しても“怒られたー”ってパワハラっぽく思われて終わりそうでしょう(笑)。

だから、それは中間の選手に任せています。でも実は私、結構気が付いちゃう性格で、気になりだすと、とても面倒な性格なのを自分でよく知っているので、あえて気付かないように心がけています(笑)。

パイオニアともいえる「3W」リーグの設立と3×3の魅力について。

あれは2018年1月のこと、東京オリンピックへ向け競技の環境を整えなければという思いで相談をしに行った、日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎さん(2016年6月まで日本バスケットボール協会会長を務めていた。)に、「現場を変えるには、あなたがやるしかないんだよ」という言葉を頂いたことがきっかけで、私自身にスイッチが入り、女子国内リーグ「3W」の設立に至ったわけですが、私も現役の選手なので、正直、ライバル選手の手助けをしていることになるんじゃないか、とか、誰の為にこんなに大変な思いをしてやっているんだろう、と思う事もありました。

でもそれが私の使命、矢野良子なんだと思うようになって……。今は選手として、人として、本当にいい経験をしていると思います。また何より、3×3という競技に魅力を感じています。スピード、迫力、ゲームとしての面白さなど、観てもやっても面白いスポーツです。私が活動することで、一人でも多くの方たちに3×3の魅力を知って頂けたら嬉しいです。

イチロー選手の引退会見のことに話が及び・・・・・・。

イチローさんが引退会見で、「アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと、アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので」とおっしゃっていた言葉がとても印象に残っています。

バスケットもそうですが、野球もフィジカル的なこと一つとっても日本人が海外で活躍するのは本当に難しい世界です。アメリカで本当に大変な努力をされたのだろうと改めて思いました。

アスリートは結果が全て。自分が今ある状況において、自分をどうみせられるか、どう輝かせるか、ということを常に考えているものです。イチローさんやカズさん(サッカー)もそうですがそういったことが出来る最たる選手だと私は思います。同じアスリートとして学ぶことが沢山ありますね……。

「東京オリンピック、出て下さい!頑張って下さい!」と私が言うと、「出たいんです!」と力強く返事をする矢野良子選手。(実はこういうやりとりが、会話中に何度も繰り返されていた。)

とにかくテンポ良く、歯切れ良く話をする彼女に、頭の良さと人を惹きつける独特の魅力を感じずにはいられない楽しい取材だった。

東京2020オリンピック行きの切符が、矢野良子選手の元へ届きますように!

矢野良子選手profile

女子バスケットボールトップリーグにて、JOMO~富士通~トヨタと20年間プレー。その間、リーグ制覇4回、皇后杯優勝6回を牽引。また、日本代表としてアテネオリンピックに出場した。

その後、2017年に3×3へ転向。更に自ら『3W(トリプルダブル)』を立ち上げ3×3の環境作りに力を注いでいる。現在、3×3の普及活動とともに、東京2020オリンピックへの出場を目指し、多忙な日々を送る。

■他メディア記事:

https://www.sankei.com/premium/news/181002/prm1810020006-n1.html
http://www.bbspirits.com/wleague/w19022101/
https://news.yahoo.co.jp/byline/konagayoshiyoko/20170907-00075492/

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文 / Nezu Takako

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