【エッセイ×根津孝子】築地場外『鮨國』の「こぼれウニ丼」は映えるだけじゃない特別な美味しさ!

もうすぐゴールデンウィーク。今年のゴールデンウィークは少し遠くへ旅にでかけよう、と計画をしている人も多くいらっしゃることでしょう。

私はといえば、特に予定もなく、いつも通りに過ごす感じではありますが、でもここのところ、特に春になってからというもの、動きたくてウズウズ……。そして動かずにはいられず、日々思いつきで「さ、ランチ行こ!」という感じで、よくランチ目当ての外出をしています。

営業職が長かったせいもあって、私は飲食店での食事も一人で気楽にできるタイプです。

一人で飲食店に入れない知人や、一人で食べるより誰かと一緒に食べた方が美味しい、という知人もいますが、そんな話を聞く度に私はいつも「うめーもんは、一人で食べてもうめーよ」と、いつから江戸っ子になったんだ?という口ぶりで反論をし、それは負け惜しみだよ、という知人もいます(笑)。でも、負け惜しみではなく本音です。美味しいものは一人で食べても間違いなく美味しい!(笑)。

つい先日のこと、美味しい海鮮丼を食べに、久しぶりに築地場外へ行きました。

築地といえば、市場が豊洲に移転したので築地場外もなくなったと思っている方もいるかもしれませんが、築地場外は、何も変わっていません。場外市場の雰囲気のまま、営業をしています。

銀座から徒歩で行ける築地場外は立地もいいですし、歴史もありますから、なくしてしまうのはもったいないですよね。

東京に住んでいても豊洲市場まではなかなか行かないですが、築地場外ならば、気軽に行く気になります。

さて、そんな築地場外にあって、美味しい海鮮丼を食べたい!と思ったら、私が行くお店は、『鮨國』さん。

(★『鮨國』Instagram:https://www.instagram.com/tsukiji_sushikuni/

実を申し上げますと、こちらのお店とは私、ご縁がありまして……。

『鮨國』さんの開店当初、私は駆け出しのフリーライターでした。そして勿論当時も食べることが好きだった私。

そんな私はフリーライターとして早く実績を付けねば、と思っている時期でもありました。また、ならば食べものに関わることを書いてみたい、と思っていたのです。

そんなある日、私は思いついて、築地場外の飲食店へ飛込営業に行くことにしました。そうです、出来立てほやほやのフリーライター「根津孝子」と書いてある名刺だけを持って……。

無謀と思われるかもしれませんが、私の行動はそんなことがよくあるので、そばにいる人であれば、あまり不思議はないかもしれません。

何を営業するのか私の中ではとても明確でした。なぜならば、自分ができることは限られているから。その時は、チラシを作ったり、PR用の文章を書いたり、看板用のコピーライティングをさせてもらえないか、という提案営業です。つまり、お店のPRの一翼を担えないものかと。

皆様のご想像通り、「お店のキャッチコピーを考えます~!」「チラシつくりませんか~!」「看板つくりませんか~!」という話をすると、殆どが門前払いでした。

でも私は駆け出しのフリーライターです。ダメ元で自分を売り込むための飛込営業をしているので、そこでヘコタレルこともなく、ヘコタレル必要もないと思っていました。

そして、「私に頼めばいいのに~。そしたらもっとよくなるのに~」と、どこかで根拠のない自信があったのかもしれません。怖いモノ知らずのバカですよね、だけど、バカでよかったのです。バカだからそんなことができたのかもしれないです。そして、今も相変わらずのバカです(笑)。

けれど、やってみるもんですね、その日一日、築地場外をぐるっとまわって、3つのお店からお仕事を頂きました。

とてもとても嬉しかったですし、私が今できる精一杯の仕事をしなければと、未熟だったかもしれませんが、本当にできる限りの精一杯の仕事をしたと、今でも思います。

なんと、その時にお仕事を頂いた一つのお店が、『鮨國』さんだったのです。

その時のことを忘れることなどできません。私が『鮨國』さんへ飛込営業に行った時、その日の営業はもう終わっていて、シャッターが半分閉まっていました。その半分閉まったシャッターの隙間から私は強引に顔をのぞかせると、後片付け中で、つけ場にいる初代大将と目が合いました。

お店が営業時間を過ぎているのはすぐにわかったので、目が合った初代大将に、「食事じゃなくて、営業にきました」と言うと、「どうぞ、入って~」と初代大将がとても優しくて……。

『鮨國』さんはオープンしたばかりでしたので、私が飛込営業に行ったタイミングがよかったんです。すぐにいろいろな状況を把握して、超スピードでブログや看板づくりなどをお手伝いし、そこから数年にわたり、PRのお手伝いをさせて頂きました。

あの時、初代大将からチャンスを頂き、オープン当初より関われたことが私の経験になり、心から感謝しています。

そうして気がつけば『鮨國』さんは行列のできる繁盛店になっていました。

今は築地場外の名店です。

でも実のところ、私があの時出会わなくても『鮨國』さんはあっという間に行列のできる繁盛店になっていたと思います。

その理由はいくつかあるのですが、まずは何より、その味の良さです。

築地場外という競合店が多い環境において、味がよくなければ絶対に生き残れません。

そしてもう一つ、ここに書くべきはご家族の絆の深さだと私は思っています。

「これからこの店を育てるんだ」「何としてもやっていくんだ」という気合いというか、本気度というか、そういうものを、出会った当初からひしひしと感じました。

時は流れても、ご家族の絆は変わらないまま。お母さん(女将さん)もとても優しくて……。

ただ、良い意味で時の流れを感じるのは、出会った当時、初代大将の下で修業の身だった息子さんが、今は立派な鮨職人さんになったということ。

先日お店に行った時、若大将が、「もうあれから13年経つんですね。最初の頃は、正直、迷いもあったんですが、今はチャレンジしてよかったと思っています」と話されていました。

頑張ってこられたことを知っているだけに、私はじんと胸が熱くなりました。

さて、名物「こぼれウニ丼」の思い出話を少しさせて頂きましょう。

私は正直『鮨國』さんに出会うまで、ウニを美味しいと思ったことがありませんでした。というのも、ウニ独特の臭みが苦手でして。でもそれは間違いでした。美味しいウニ、良質なウニには臭みがありません。 

『鮨國』さんに出会ってまもなくの頃、看板用の写真を撮る日がありました。初代大将が全てのメニューのお鮨を握り、海鮮丼を作り、私はそれをデジカメで撮影して看板にするのです。そして撮影後のお楽しみは、撮影で使ったお鮨や海鮮丼の試食です。

その時、「ウニってこんなに美味しいものなんだ!」と私は知ったのです。

「こぼれウニ丼」というインパクトのあるネーミングは、勿論私ではなく、初代大将がつけた名前です。

その名を裏切らない、インパクトのあるビジュアルですが、私が伝えたいのはむしろその味の方。

「ウニが苦手な人もぜひ一度食べてみて欲しい」と、そう伝えたくなるウニ丼なのです。

長くなりましたが……。

築地場外の名店、そして名物になった『鮨國』さんの「こぼれウニ丼」が現在発売中のグルメ雑誌「東京カレンダー」に“大人を満たす映えるグルメ”として掲載されています。

そんな私は、こぼれウニ丼は勿論ですが、「中トロうに丼」と「あなご丼」も推しでございます。

ゴールデンウィーク間近、築地場外へ、東京グルメ旅を計画してみてはいかがでしょうか。

★築地場外『鮨國』Instagram

https://www.instagram.com/tsukiji_sushikuni/