【連載×ますだあけみ】血、について考えを巡らせる・・・・・

『国際結婚救助隊』隊長のあけさんです。

名古屋で結婚相談所を始めて12年目。以前は日本人同士の恋愛相談や婚活スクール、お見合を行っていましたが、5年前から東南アジアの女子達とのご縁を繋げて国際結婚のお手伝いをしています。

本エッセイでは、婚活に奮闘している男性に向けて、時には辛口な𠮟咤激励を飛ばしていきます。

今話題の映画「国宝」を観てきました。数奇な運命によって歌舞伎界に引き取られた男が芸に身を捧げ、歌舞伎役者としての才能を開花させていくストーリー。175分という長時間でしたが、波乱万丈な展開と、それぞれの役者さんたちの演技力に引き込まれて、あっという間の濃厚な時間でした。

物語の中で、他人がどんなに練習を積んで芸を熟したとしても、結局、代々受け継がれた名門、歌舞伎一家の”血”が大事にされ、評価されることに、改めて”血”について思うところがありました。

ネタばれになりますが、主人公が困難を克服して国宝に選ばれた取材時、何年も会っていなかった娘と対面した時、これもまた”血”の流れを強く感じるシーンだと思いました。

婚活支援の仕事をしていてよく感じるのは、身勝手な条件に頑なに縛られている人が多くいることへの違和感です。

よくある違和感のひとつは、還暦前後の男性の「子どもが絶対ほしい」という依頼です。

例えば、「連れ子」の選択を提案すると、決まって自分の”血”が入っていないのは問題外だと言います。自分の”血”を受け継いで「跡継ぎ」がほしいというのです。

先ほどの映画の物語のように、何代も続く歌舞伎一家や名門一家だけでなく、一般人であっても自分の”血”を受け継ぐ子を残していくことは、人間としての『本能』であり『役割』だとは思うのですが、しかし、こればかりは自分だけの頑張りではどうにもなりません。

先日、56歳になった初婚男性からの婚活相談で、80代の母親と東北で同居して跡取りを見せてあげたいと言うのです。

「今まで結婚を考えた女性はいなかったのか」訊ねると、「婚活をしていても年齢差がありうまくいかない」と言います。

お相手は何歳くらいを希望かと聞くと、「10歳くらい下の女性」というので、こちらは「40後半の女性ですね」と確認すると、男は「いや35歳くらい」と平然と言います。

私は「20歳以上の年下ですね」と計算できないのかとまた確認。そして、「もしも20歳以上年下の女性と婚活でうまくいった場合、子どもができて抱っこできるのは、あなたが何歳になった時かわかりますか?」と聞くと、男性は「半年後」と言ったのです。

そして何度も「跡取り」が欲しいというので、「女の子だった場合は?」と聞くと、考えていなかったようでオンラインの画面越しに男性は固まっていました。結婚相手さえ見つかれば、当たり前に妊娠して男の子ができると思っていることに、驚きよりも恐怖を感じてしまいました。

しかも、妊娠期間半年って…???もう突っ込みどころ満載ですが、こういう初婚男が多くいることは事実なのです。

学校の教育現場では習ってこないことがあります。恋愛の仕方、お金の運用、コミュニケ―ションの取り方、社会にでて必要なことを学校では教えてくれません。

しかし今の時代、お金やコミュニケーションのこと、性のことは教えてくれる学校もあります。その場合、教員である先生よりも専門の人たちが教壇に立つことが多いようです。お金だって銀行に預けても勝手には増えていかない時代、本気で自分の”血”を残したいのなら、なぜ自分から学んでどんどん恋愛していかないのかと思うのです。

お金もコミュニケーションも恋愛も学ばずに待っているだけではうまくいきません。良い結果を出したい気持ちがあるのなら、古い情報からのバージョンアップと行動して経験を重ねることが必要になります。学校教育に変化があるように恋愛や結婚も学ぶ場は多くあります。結婚相談所に入会することも行動の一つですが、今の行動のまま、昭和の親世代の固定概念のまま、本当にこのままの条件や行動でいいのかを意識して、少し考えて分析する力こそ恋愛力に必要な力になってきます。

先日、Netflixで草彅剛さん主演『新幹線大爆破』を観た人達で、「”プロフェッショナル”を飲みながら語る会」に参加してきました。この会には私はただ飲みたいから参加しようと思ったのですが(笑)、当日参加したのは9歳から60歳過ぎと幅広く、鉄オタや草彅くん推し、老若男女が集い一つのストーリーについて語り合う楽しさを味わらせてもらいました。

理系の方が多くいて、理系目線や鉄オタ目線は文系で鉄道に興味がなかった自分とは、同じ作品を観ていても異なる角度から観ていることや、感じ方が違うことに気付かされました。

同じような価値観の気の合う仲間は大切ですが、自分と同じ意見や共感ばかりでは発見は少ないのかもしれません。

違う角度から観る景色が新鮮でした。9歳の鉄オタ少年は、はやぶさとこまちのプラレール持参で新幹線大爆破のワンシーンを再現してくれて、自分の口で気になったことをみんなの前でしっかり伝えてくれました。小さなプロフェッショナルです。

プロフェッショナルとは専門的な仕事をする人、それは仕事だけでなく生き方や生き様がすごく影響していると思っています。「新幹線大爆破」は50年前に高倉健さんが主演した映画をリメイクした作品で、草彅君と高倉健さんとの知られざる縁があって、監督や他の共演者との繋がりも、全て縁があるからこそ出来上がった作品だと改めて思いました。

「新幹線大爆破」も「国宝」も共演者やスタッフが一丸となって一つの作品を創り上げていくことの集中力と、プロフェッショナルさが深い程、画面やスクリーンを通じて響き、人を感動させるのかもしれません。

プロフェッショナルの対義語はアマチュアです。誰もが最初からプロフェッショナルにはなれないのです。アマチュア時代があってこそのプロフェッショナルです。

還暦前後のおじさまたちもアマチュアからのスタートです。プロフェッショナルにならなくても、本気で子どもを育てていきたいのなら、もう少し妊娠や出産、子育ての情報を取り入れながら日々アップデートしていくとご縁があるかも?

いや、あるかな…?”血”より大切なことを発見できたら、また新たな人生を生きていけるかもしれませんね。拘りが強いのは親からの”血”。血は争えないのかな。永遠の課題です。