-序章-
私のヘアサロンではヘアカラーのお客様が約7割を占めており、今日の美容業界でもいえるように、カラーリングが美容室にとって多くの利益をもたらしていると思う。そのカラーリングの中でも半数以上は、新しく伸びてきた新生毛を染めるリタッチカラーというメニューになる。人の髪は1ヶ月で約1〜1.5センチ伸びるといわれているので（稀に2センチ伸びる人もいる）、髪を染めていると根元だけを染めるリタッチカラーが継続的に必要なわけだ。
リタッチカラーをする1〜2ヶ月の美容室に行くまでの期間、貴方のヘアスタイルはいかがお過ごしでしょうか。形は綺麗でもカラーリングは綺麗でしょうか。一週間に根元から2ミリ以上も新生毛が生えてきますが、気になりませんか。写真を撮られて見返したとき、自身をどうご覧になるでしょうか。己と他者は素敵と思うのでしょうか。
私は、人生一生を最高のヘアスタイルで過ごしたい。悔いを残さない髪型で人生を添い遂げる為、考えました。
地球上の発展国を筆頭に、衣食住から全ての生産業に革新たる変貌が訪れる。要因は人工知能 artificial intelligence 通称AIによる全ての産業形態の革新。これにより、21世紀の文化が新しい形態を迎える。今ある文化的様式は一変し、人を囲む生活は無機質化する。近未来映画に見るシンプルな世界。
私が今見出したいのは、X年を迎える前の世界。
2025年
ヘアデザイン革命
平成維新と主張するこの革命運動により、既存のヘアカラー文化は終焉と共に新たかつ豊かなデザイン時代を迎えたい。
ロックと髪 日記より MODEL / GRANDMOTHER PHOTO / HIDEKI OGURO
そこではリタッチカラーや白髪染めといった、無駄とも受け取れるヘアカラーが無くなる。本来生まれ持った髪、素材になる要素に対して個々が誇りを持って受け止める。人類が生み出した遊び心のようなお洒落を楽しむ文明。老う事は美しい生き様であり、白髪もまた美しき象徴かの如く存在する。第二次世界大戦後に生まれたロマンスグレーという言葉。そう白髪は浪漫溢れる色合いだと。ニューロマンスグレーの誕生とでも云えるだろうか。
ヘアカラーはポイントデザインとして存在する。そこには個々の今の気分がヘアカラーとして主張し出現するであろう。
ロックと髪 日記より MODEL / ALLAN PHOTO / H
職業ごとに存在する暗黙のヘアスタイルルール。
それが無くなると、仕事に創造性が付与され豊かに楽しく働いて日常を新鮮な心持ちで過ごして欲しい。私自身がそう働きたいのかもしれませぬ。
無理して真面目な営業マン、サラリーマンヘアスタイルでいて欲しくはない。明るい営業マンは髪も明るくて良いのではないか。個性もコンプレックスも生きた髪型であれば、その人が対相手にも伝わり易く話が早いのではないか。
政治家では小泉元総理大臣の様に威厳あるシルエットが好きだ。
お医者さんでも金髪の方が居らして、とても素敵だと思う。
私立の女子校で規則が厳しい中、表面上では目立たぬ様仕込まれた、インナーカラーや刈り上げがとてもパンクロックかっこいい。
テレビで見掛ける研究者の方。全く容姿に気を遣わないのであろう推測される風態もまた価値観の意思表示になってる様で好きだ。
ロックと髪 日記より MODEL / IZURUMINEO CUT & PHOTO / HIDEKI OGURO
欲を言えば私にヘアスタイルを任せてほしい。ヘアスタイルが自我を超えて他者による価値観の介入により良くも悪くも第三者からのお言葉を頂戴するだろう。上手くいけばポジティブな言葉を頂ける。気持ちが良くなれば研究も捗るかも、アイデアが湧くかもしれない。
想いは募る。それを実現されるべく私自身日々精進あるのみである。
グローバルという言葉が死語となり得よう時代では、様々な人種が共存せざるを得ない。個々がアイデンティティとなる自我に目覚め、解き放たれるかの如くヘアデザインを私的なものとして楽しむ。ファッションも社会もそうなり得よう。
そんな時代を描きながら私はそこに生きるヘアデザイナーとしてお力添えして生きたい。
文・写真 / スモールブラック英樹
自由が丘にある美容室『TOKION』の美容師 / ヘアデザイナー。トレンドを押さえ、一人一人の個性を生かしたヘアスタイルにはファンが多い。さらに雑誌やメディアなど多方面で活躍中。フォトグラファーとしてのプロジェクト『ロックと髪 日記』では東京を舞台にモードでロックな人々を独自の世界観で表現。現在も更新中。
髪と人に向き合うことが人生！宇宙一のヘアデザイナーを目指します！
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https://www.instagram.com/oguroooooo_h/
