【連載×ますだあけみ】住宅選びと婚活は似ている⁈~その条件、本当に必要ですか?~

『婚活応援隊』隊長のあけさんです。名古屋で結婚相談所を始めて10年目。異次元の少子化を目指すのではなく、自分にとって”人生の絶対の味方”をみつけるお手伝いをしています。

当たり前だった『結婚』はもはやオワコン、と言われているのに最小単位は夫婦という矛盾を感じる日本の制度ではありますが、独りを望む人は、おひとりさまの”プロ独身”を目指していただくとして、私としては少しでも誰かと一緒にいたいと思う気持ちが持てる婚活のフィールドを解放していきたいと常々思いながら活動しています。

入籍というカタチに拘らず事実婚、同性婚も認められるようになりつつあります。現代における結婚観を毎月配信しています。

さて、今月は我が息子の話で恐縮なのですが……。

息子が4月から東京へ進学するということで、一人暮らしをする部屋探しを昨年の12月頃から始めていました。

当初、家事を何も教えてこなかったので、自炊での一人暮らしは無理だろうと決めつけ、学生専用マンションという寮のようなところばかり探していました。

学生専用マンションは昔の寮生活のようなスタイルで、トイレ共同・大浴場・食堂での規則正しい生活もあれば、イマドキはシアタールームやフィットネス施設でホテルライクのようなマンションタイプもあったのには驚きでした。

どちらも管理人のご夫婦が住み込みでいてくれて、家庭料理のような朝食と夕食がついていて、体調が悪い時などは部屋まで食事を運んでくれるし、門限もありません。

学生専用マンションで決めようと何件か見学をして、資料を取り寄せていました。しかし、最近のホテルライクの学生マンションは高い!そもそも朝ごはんを食べない息子、バイトもするというので、夕飯だって食べるのか不明です。食事無しという選択なら一般の賃貸でもいいのでは?と、途中から考えを切り替えたのでした。

東京は物凄い数の賃貸物件があります。ピンキリとはこういうことを言うのでしょう。木造の築50年以上の物件からキラキラした高層マンションまで、お金に糸目を付けないのなら私が住みたいお部屋もたくさん。山手線内の家賃が驚愕の金額!華やかなお江戸での生活、しかし、私ではなく息子が住むのです、そして学生なのです。居心地の良すぎる部屋にしてしまったら学校に行かなくなるかも?と、いらぬ心配をしながら賃貸物件を探し始めたのでした……。

息子の希望は、バストイレ別、築浅、できれば独立洗面台と内装のことばかり。

親の希望は駅から近く、学校まで自転車で行ける距離、できれば陽当たりのいいお部屋と地域や環境のことばかり。

そんな全ての条件が叶う物件があるのかと、ものすごい数のお部屋を毎日毎日ネットで探したのでした。最初は毎日見ているのが楽しいですが、写真は1Rだから同じようなものばかりです。きれいだなと思っても、勇んで現地で内見してみると写真とは違う物件も多くて何度もがっかりしたのでした。

物件情報や写真はもちろん大切ですが、それを取り扱う仲介業者さんがこれまたすごい数あるのです。同じ物件に違う管理会社や仲介業者が何件も入っていることもよくあるのです。それぞれ、担当者や会社の対応がすごく違います。

対応が遅い会社、すぐに動いてくれる会社、会社と言うより担当の方のきめ細やかさや臨機応変さで成約率が変わってくるなと思ったのでした。

大学が始まる日が決まっているので、迷っている時間はなく、希望の物件やいいなと思う物件はみんな同じなのですごい勢いで埋まっていきます。

ふと思ったのは、住宅選びと婚活はすごく共通項が多い!ということ。

賃貸物件と同じく、婚活している人のすごい登録数。ネットで検索して毎日選びながら見ているのは楽しいけど、こちらがいいなと思っても既に他の人に予約され見ること(会うこと)すらできない。

写真はよかったのに実物は違うことがある。なにより息子のように築浅(若いくてきれい)に拘ると人気で競争が激しい。一人暮らし(結婚)をしたことがないと内装ばかり(見た目ばかり)に拘るけど、親は内装よりも地域の環境(育った環境)を重視しがちになる。

そして全て叶う物件は無くもないが、すごい賃料が高いかまたは激戦なのです。自分ばかりが選ぶことが出来ると思っているけど、相手からも信用調査され貸してもらえるかどうか審査があるのです。審査に通ってこそ初めて借りる(お見合)ができるのです。

そんな色々な条件の中、なかなか決まらず日にちがもうないと焦る息子。私はご縁のある部屋がきっとあるから大丈夫と言っていたら、3月下旬になった頃希望の場所に空きが出てめでたく引越しができたのでした。

決まる時は今までが嘘のようにすーっと決まっていくのだと物件も婚活も同じだとつくづく実感しました。

あれから二ヶ月、一人暮らしに慣れてきた息子とビデオ通話をすると何だかモノが散乱して汚い。初めてのバイトを始めたようで慣れない接客に戸惑いながらお金を稼ぐことの大変さを経験中です。大学ではサークルではなく、なぜか運動部に入って部活にも一生懸命らしい。親としては汚い部屋を見ると掃除に行きたくなる、ご飯はきちんと食べているのか心配になる気持ちをグッとこらえ、息子の東京生活を邪魔しないように見守るしかないと我慢しています。

ここも婚活と同じく、親がとやかく言ったところで本人の人生だから親は見守ることが一番だと思うのです。親は一生見守ることはできないのだからこそ、本人に選択させて経験させて自立してもらうことが一番の子育て、子離れだと痛感しています。

ママ友たちが、一人息子がいなくなり「寂しいでしょう?」と声を掛けてくれるのですが、寂しさよりもお弁当や夕飯を作らなくていい気楽さのが勝っています。

夫も子どもも元気で留守が一番です。いつも仕事柄、実家から一度もでたことがない40、50代の同居男性と接しています。実家から出ていかない息子は居心地がいい実家で、母親が息子のはいていたパンツを洗い、毎日ご飯を作り、家のことを何もさせていないから生活の苦労がわかっていない。いざ結婚をすると考えた時、条件は「同居・自分の世話をしてくれる人・子どもを産むなら若くて(かわいい)人」がいいと、自分のことは高い棚に置いたまま婚活を始めます。

そんな物件はありません。すでに満室です。自分の条件に対して家賃(生活費)は払えるのか、その仲介業者(結婚相談所)は親身になってくれているのか、何よりも物件を見つけて終わりではありません。そこから生活が始まっていくのです。

素敵な物件でも実は住んでみると……違うかもしれません。”住めば都”と居心地がいいことが一番になるよう、物件選びも婚活選びも大切なことを今一度考え直してみると新しい出会いがあるかもしれませんよ。