【連載×ますだあけみ】人生は有限。じゃあ何を優先する?~「入院セット」を揃えながら思ったこと~

『婚活応援隊』隊長のあけさんです。名古屋で結婚相談所を始めて11年目。異次元の少子化を目指すのではなく、自分にとって”人生の絶対の味方”をみつけるお手伝いをしています。

Beauty Museumでは、現代における結婚観を毎月配信しています。

先日、10年ぶりに地元の同級生と飲み会をしました。女4人なので話は尽きません。1970年生まれの私たちは親が団塊の世代の子供。人数だけは多く、何もかも競争をする時代で、受験や就職も凄い倍率でした。

この頃、女子は高校を卒業し就職又は短期大学に進学する傾向がありました。私は田舎の県立高校出身なので、クラスメイトは就職は某大手自動車関連や地元の銀行に推薦をもらい就職、進学は推薦枠での入学が多く、一般受験で受けるのは国公立大学くらいでした。

一緒に飲んだ友人たちも私以外は推薦で進学や就職をして、世の中が浮かれたバブル時代だったので、”いい時代”と言われる頃に就職し、結婚し、寿退社して出産、子育てに忙しくしていたのでした。

私は何を血迷ったのか、突然四大を受験すると言い出して、大した受験勉強をしてこなかったので滑り止めの大学しか受からず、卒業する頃にはバブルも終わっていた為、「四大卒の女子は採用の予定がないので説明会場から退出してください」と言われたのをよく覚えています。

同級生とたった2年違うだけで、就職も人生の扱いも全く変わってしまった世の中が恨めしいと思いましたが、当時はこれが社会、世の中なのだと達観していました。

しかし、差が出てきたのはこの先からなのです。私は大学卒業後に広告代理店に就職、仕事は忙しいけど面白いし、お給料は全部お小遣いで使えるから毎日飲み歩き、服や化粧品も好きに変える自由な20代の日々を過ごし、気付くと短大卒や就職組の女子達はみんな出産をして子育てをしているのに、私は今の自由を止めてまで結婚や出産を全く考えられなかったのでした。

既婚組は若くして結婚し、体力もあり、子育てを手伝ってくれる親がいて、子育てが終わってからもまだ年齢的に若いので正社員や仕事復帰して働いているのです。結局私は当時、35歳からは丸高(まるこう)と言われた『高齢出産』の手前ギリギリで結婚と出産。同級生とは10歳以上離れた子育てを30代後半で経験しました。

この頃は仕事を続けながらの出産と育児と家事、当時は忙しいのと大変なのとで、記憶があまりないと言った方が正しいかもしれません。一週間どころか、一日一日を熟すのが精一杯でした。

若いうちに子育てをしておくといいよと経験した人の言葉は、正にその通りです。しかし疲れ果てた生活でも、子育てって終わりがくるのですね。あんなにかわいい頃があったのに身体も大きくなり、自分の身の周りのことは自分でできるようになり、寂しい気持ちより、今度はお金が必要になってきます。

今は大学進学をし毎月の支払いに頭が痛いです。私は一人しか出産しませんでしたが、兄弟がいると倍々ゲームのようにお金がかかってきます。こんな話をしているから、結婚なんてしたくない、しなくてもいい、独りがラクだ、まして子どもなんか要らない、お金がない、お金がかかる、自由がなくなり、心配ばかりが増えるという構造になっているのかもしれません。

女4人の飲み会での話は続きます。みんな子どもたちが30歳前後なので、恋愛、結婚と、時代は変わっても子ども世代が同じことを繰り返していきます。

そして新たな話題も入ってきます。自分たちの病気や衰え、親の病気や介護の話です。子育てには終わりがきますが、介護や病気は先が見えません。

もし晩婚で子育てと親の介護が一緒になってしまったら、どうすればいいのでしょう。だから独りがラクなのではなく、夫婦や親子関係に限らず、これからは支え合う存在が必要だと痛感しました。

今は助けを求めてもいい時代です。抱え込まずに相談する場所や人がいてくれます。自分で全て面倒をみようとするから、全てやろうとするからしんどいんですよね。

4人のうち、二人は子どもに女の子がいます。私ともう一人の友人は男の子だけです。その友人が「男しかいないと、突然の入院の時には男はパンツ一枚どこにあるのかわからないから入院セットを作っておくといいよ」と教えてくれました。なるほど!と思い、早速入院セットを作っておきました。ふと、意識があるうちはいいけど、意識が無い場合の為にも連絡先やIDにパスワード、保険や銀行口座をひとまとめにしてきました。これでいつ倒れても大丈夫です(笑)。

死なんて嫌だと先送りにしていますが、人間は必ず死にます。死にたくないと言っても全員死にます。その「死」がいつなのかがわからなのが厄介です。しかし死はやってきます。その時の準備をしておけば遺された人は困らないのです。

婚活のお手伝いをしていて思うのですが、結婚を難しくしている人は自分のことしか考えていません。自分に都合いい条件ばかりが先行しがちです。若い頃の恋愛ならば、その条件でもいいのかもしれません。でも結婚って生活なんですよね。生活は支え合わないと成立しません。損得勘定では測れないのです。

飲み会、推し活、自由な生活はその人次第です。結婚してもしようと思えばできるし、また違う楽しみも出てきます。結婚したいのに言い訳ばかりしている時間がもったいない、時間は無限ではなく有限です。早くしないと死んじゃいます。

私が入院したら「入院セット」作ってあるからもってきてねと夫にお願いすると、「その入院セットがどこにあるか知らない」と言われてしまいました。まずは家族間のコミュニケーションをしっかりしておこうと誓ったのでした。