『国際結婚救助隊』隊長のあけさんです。
名古屋で結婚相談所を始めて13年目。以前は日本人同士の恋愛相談や婚活スクール、お見合を行っていましたが、6年前から東南アジアの女子達とのご縁を繋げて国際結婚のお手伝いをしています。
本エッセイでは、婚活に奮闘している男性に向けて、𠮟咤激励を少々飛ばし、寄り添いながら結婚・家族・人生について一緒に考えていきたいと思います。
お盆も終わり、残暑はまだまだ続きますが、ベランダに差し込む太陽の角度が変わってきているなと感じる今日この頃です。
お盆休みは帰省されましたか?最近のお盆休みのトレンドは、家族でもセパレート帰省が主流になってきているとのこと。長期の連休時に家族揃って親元へ帰る時代から、夫婦それぞれの実家へ帰るスタイルに。そして親も年老いて布団や食事の準備も大変だからと実家に泊まらず、近隣のホテルに宿泊することも多くなっているそうです。

子どもの頃の私は、おばあちゃんちに行くために新幹線や飛行機に乗って行く友達がすごく羨ましかったです。私自身は祖父母と三世帯同居。母方の祖母は車で30分の隣の市、旅行気分も何も無かった夏休みでした。今思えば逆に、祖父母に近場で会えることは贅沢だったのですね。
どんな形でも久しぶりに会う親はどうでしたか?電話やLINEはしていても実際に対面で会うと年老いたことや部屋や台所が乱雑になっていませんでしたか?
今回は婚活ではなく、私たちの少し先にある「介護」の話をしたいと思います。
今年に入って、義母(75歳)は認知症と診断されました。今まで何度もあれ?ということがあったのですが、いざ身近な人が認知症と言われると気持ちや行動がついていきません。物忘れや繰り返し聞くこと、冷蔵庫の中に入りきらないくらいの同じ食品を買い込んでしまうこと、料理が作れなくなったこと、なぜ?と家族みんなが思いながらも認知症ですと決めつけられることを先送りして逃げていたのかもしれません。
認知症というと、何もかも忘れてしまい、何もできなくなっていく。以前の私はそんなイメージを持っていました。でも、義母を見ていると少し違います。すべてを忘れていくわけではないのです。できることもたくさんあるのです。大好きな舟木一夫さんのことは覚えている。元行員ということもあり、お金の計算は間違っていません。手紙が得意で綺麗な字を書きます。私が仕事をしていることや犬のことはしっかり記憶しています。その一方で、苦手だったこと、嫌いだったこと、面倒だったことから、少しずつ手を離していくように見えます。義母は生協の注文が大好きで、今までたくさん注文してきました。この楽しみを奪ってはいけないと好きなように注文をしていたら……冷蔵庫や冷凍庫を開けると食材がぎっしり。野菜室ではぎゅうぎゅうに押された野菜が潰れて水分が溜まっていました。食材は何でもあるけれど、食事の支度ができません。献立が考えられなくなっていったのです。
考えてみれば、食事を作るというのは結構大変な作業です。冷蔵庫の中を確認して、献立を考える。足りない物があれば考えて買う。材料を切り、いくつもの料理が同じくらいの時間に出来上がるよう順番を考える。私たちは毎日何気なくしていますが、食事を作ることは、ものすごく脳を使っているのです。だからこそ食材があることと、料理ができることは別なのだと、義母を見て気付きました。

義母は難聴で、人と話すことがだんだん億劫になっているようにみえます。気晴らしに外出に誘いますが、あまり家から出たがりません。義母にとって一番安心できる場所は家なのです。けれど家にいれば、義父(76歳)と二人です。同じ話を何度もする義母に義父がイライラし、口げんかになる。何度も聞く、また怒るの繰り返しです。義母だけでなく、義父も疲れていきます。今までしっかり者だった義母だからこそ、出来て当たり前が当たり前ではなくなっていく姿を間近でみている義父や家族は辛いし、きっと現実を受け入れたくないと思うのです。
義母が台所に立たなくなってから、毎日の食事はなんと!昭和の男代表のような義父がお米を炊いて、生協の冷凍食品をチンしていると聞き、今まで義父は料理が出来ないのではなく、義母に任せっきりだったのだなと再確認。しかし、チンばかりでは食事が偏ると思い、野菜や煮物などを食べてもらおうと、私は毎週水曜日に食事を作り、一緒に食べるようにしています。
今は一緒に食事ができるけど、この先はどうなるのだろう。もっとできないことが増えたら?と考えてしまいます。明らかに先月より今月、先週より今週のほうが少しずつ話が嚙み合わなくなってきているのです。義姉が二人、同県内にはいます。でも、それぞれに生活があります。義両親は娘たちには「迷惑をかけたくない」と思う気持ちがあるようで、大変な時こそ頼りません。
では、ここは嫁の出番なのでしょうか?そんなことを考えていたら、ふと婚活中の男性たちのことが頭に浮かびました。婚活相談をしていると、「将来は親のことも看てほしい」「自分が病気になったら支えてほしい」「老後、一人では心配だから結婚したい」そんな言葉を聞くことがあります。ところが、「奥さんの親に介護が必要になったら、あなたはどうしますか?」と聞くと、そこまで考えていない男性も少なくありません。自分の親は夫婦の問題。相手の親は相手の問題。それでは少し都合がよすぎます。結婚したからといって、妻が夫の親の介護をするのが当たり前でもなければ、夫が妻の親を背負わなければならないわけでもありません。
誰か一人が全部抱える話ではないと思うのです。介護サービスを使う。きょうだいで分担する。お金で解決できるところはお願いする。夫婦でできることを話し合う。家族みんなが出来ない理由を探すのではなく、「自分にできることは何だろう」と考える。それでいいのではないでしょうか。
結婚相手は、自分や自分の親の面倒を見てもらうための人ではありません。50代、60代になれば、「老後が心配だから結婚したい」という気持ちが出てくるのもわかります。でも結婚とは、自分の老後を託す相手を探すことではなく、お互いの人生に何かが起きたときに「さて、どうしようか」と一緒に考えられる人を探すことだと思うのです。義母との毎週水曜日の食卓を囲みながら、最近そんなことを考えています。義父ときょうだいでケアマネージャーさんに相談し、義母は週2日デイサービスに行くようになりました。

介護は、まだまだ先の話だと思っている婚活中の皆さん。結婚したい相手の向こう側には、その人の家族もいます。あなたは自分の親の老後だけでなく、相手の親の老後まで、一度想像したことがありますか?
私が毎週水曜日だけですが、食事を作りに行くことが出来るのは、幼少期の息子をよく預かってもらっていたからです。その時にお世話になったからこそ、いま恩返しができると思っています。もしも結婚後にお互いの両親への行き来がなかったら、介護が必要だからと言われても急に対応できるかは自信がありません。
結婚は本人同士の気持ちが一番ですが、長い人生の中では二人だけではなく親も一括りになる存在です。トレンドのセパレート帰省でそれぞれの親に会い、それぞれの親の生活を知り、帰って来たら夫婦での情報共有が必要だと思うのです。
家族だけではなく、行政や包括支援センターなどの介護のプロへの相談も必要です。嫁はいない、親は高齢、自分も中年で仕事が多忙、共倒れになる前に、婚活もプロに相談して”現状”を確認して対策を立てていきましょう。先送りしないことが一番の近道です。
